2022 Fiscal Year Annual Research Report
グラフェン支持膜を用いた真空下での電子顕微鏡試料作製法に関する基盤技術の開発
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20K05286
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 真生 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 特任研究員(常勤) (10727639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安谷屋 秀仁 沖縄科学技術大学院大学, 量子波光学顕微鏡ユニット, 技術員 (00868721)
CHEUNG Martin 沖縄科学技術大学院大学, 量子波光学顕微鏡ユニット, 技術員 (90832163)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エレクトロスプレー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画調書の実験実施計画(図4)では2021年度に真空蒸着条件の最適化、2022年度は様々な生体高分子試料を用いた真空分子蒸着実験を実施する計画であったが、同調書図6に示した装置では真空中へのイオン導入効率が極めて低いことが研究初期に判明し、真空中での詳細な蒸着実験の実施が困難な状況に陥った。この状況を改善するためには装置のイオン導入部分の大がかりな仕様変更が必要になるが、これは本研究の想定を超えるため、検討の対象をイオン源に絞り、大気中でのエレクトロスプレーデポジションを集中的に検討することとした。この検討では様々な生体高分子複合体を用いたデポジションを実施、エレクトロスプレー後も複合体分子に大きな構造損傷は起きていないことを確認した。ただ、数ナノメートルレベルの試料の微細構造を明確に確認できるまでには至らず、更なるシステムの改良とより適当な試料の選定が必要と判断した。そこで、2022年度前半からはこれまでの試料に比べより特徴的なナノ構造を有するウイルス試料のデポジションに注力することとし、特にインフルエンザウイルスのデポジションを可能とするための試料作製法の確立とエレクトロスプレー装置の改良を実施した。試料作製法の最適化において重要であったのは、試料濃度を十分に高めつつウイルス粒子の凝集を抑える条件を見出すことであった。この最適化は難航しており、現在もまだ検討の途上にある。装置の改良においては、a)ごく少量の試料溶液を用いたエレクトロスプレーを可能とするためのスプレー電極の改良と、b)ウイルスを含むエアロゾルを封じ込めるためのバイオセーフティーエンクロージャーのインストールを行った。これらと並行して安谷屋を中心に低エネルギー透過電子顕微鏡(調書図7)のイメージング条件についての検討を進めた。こちらの研究成果はMicroscopy誌に報告するに至っている。
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