2020 Fiscal Year Research-status Report
Method for analyzing dynamic response of plants to external stimulation
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20K05287
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
肥田 博隆 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (60402509)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロ・ナノ科学 / Micro TAS / Plant-on-a-chip / マイクロ・ナノデバイス / バイオメカニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
植物は,屈性と呼ばれる外部刺激に対する屈曲運動などの応答により,光や水分などのエネルギーを効率良く獲得していることが知られている。一方で,その力学的メカニズムの書府際には不明な点が多い。本研究は,植物の根や地上部の機械的特性(硬さ,推進力)を連続的に計測可能なマイクロセンサデバイスを開発し,重力や病害虫,化学物質などの外部刺激を与えた際の力学的応答を定量的に解析することで,植物の成長最適化に関する知見の獲得を目的とする。さらに,本手法を発展させ,温度や養分など多様な環境要因を考慮した分析プラットフォームを確立し,将来的には栽培技術の最適化や品種改良への知見の獲得を目指す。 今年度は,モデル生物であるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)を解析対象とし,(1)胚軸(地上部)の重力屈性の解析用デバイスとそのモデル化,(2)植物寄生性線虫の感染過程を解析するためのマイクロ流体デバイスの開発,(3)マイクロピラーデバイスを用いた根の機械的性質の解析用プラットフォームの構築に取り組んだ。また,イネを解析対象とする養分の濃度分布に対する根の伸長挙動の応答解析を目的としたマイクロ流体デバイスの開発を行った。本研究で開発した解析手法により,(1)根の機械的性質が栄養分の濃度や含有物によって変化すること,(2)機械的ストレスは植物寄生性線虫の感染による根の変質を抑制可能であること,(3)マイクロ流体デバイスにより形成した養分濃度勾配に対するイネの根の伸長挙動の変化 を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画通り,植物の生育解析のためのマイクロデバイスの開発を行い,根の機械的特性や伸長挙動の定量化に成功している点から,本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の成果に基づき,マイクロセンサデバイスの最適化を進めるとともに,根や地上部の生育挙動の物理的モデルの構築に取り組む。
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Causes of Carryover |
国内外の学会のオンライン化に伴い,申請時に旅費として計上した予算との差額が生じたため,次年度への繰り越しとした。本年度は状況に応じ,国内外での発表,学術雑誌への投稿費用など,成果発表に関わる経費として利用を予定している。
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