2022 Fiscal Year Annual Research Report
分子間架橋酵素電極による生体内微量D-アミノ酸の高感度・高選択的定量技術
Project/Area Number |
20K05292
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
山口 浩 東海大学, 農学部, 教授 (00466236)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 酵素固定化 / マイク流体デバイス / 生体分子検出 / 比色反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は電極表面に高濃度に固定化したD-アミノ酸酸化酵素を用いて高感度・高選択的かつ安価なD-アミノ酸の定量分析技術を確立することを目的としている。初年度は酵素の固相表面への共固定化条件の確立を行った。酵素にはD-アミノ酸酸化酵素とヘモグロビンを利用した。固相にはアミノ基修飾PEGAビーズを利用した。酵素はポリリジンが形成する重合体へ取り込まれることでビーズ表面へ積層され、高濃度の酵素を活性を保持したまま固定化できた。2年目は作製した固定化酵素の性能評価を行った。その結果、長時間その触媒活性が持続し安定性が増加したが、反応温度を上昇するとその安定性の低下が観測された。その為、最終年度も引続きD-アミノ酸の定量分析に最適な酵素固定化条件(架橋剤、各試薬濃度など)を検討した。その結果、反応温度30度から40度において、酵素活性が安定する架橋条件を決定した。作製した固定化酵素を用いたD-アミノ酸の定量分析法を2通り検討した。①酵素反応により生成する過酸化水素をペルオキシダーゼにより比色反応から定量する方法、②酵素電極を作製し、電気化学的に定量する方法の二通りを検討した。①の分析法は検出感度これまで報告されている結果と同程度であった。反応温度を上げることで酵素反応効率が増加し、検出感度が上がると期待していたが、今回の固定化酵素は反応温度が40度以上では上述のように安定性が低い為、検出感度のさらなる改善が検討できなかった。②の分析法は酵素反応に必要な補酵素の還元反応の電流値または過酸化水素の電解電流から定量するが、金電極への酵素の固定化が検討途中のため、活性評価を研究期間内にできなかった。研究期間内に期待していた成果(性能)までは達成できなかったが、研究課題に関連した内容で科学論文を2報を報告した。
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