2023 Fiscal Year Annual Research Report
ハーフメタルホイスラー合金を用いた超伝導スピントロニクス素子の創製
Project/Area Number |
20K05305
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
重田 出 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (30370050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 崇秀 東北大学, 工学研究科, 特任准教授 (00580341)
廣井 政彦 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (80212174)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スピントロニクス / 超伝導 / ホイスラー合金 / ハーフメタル / アンドレーエフ反射 / スピン三重項クーパー対 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ハーフメタルと超伝導体を融合した新機能デバイスの開発を念頭に,ハーフメタルホイスラー合金と超伝導体を用いたエピタキシャル積層膜の成膜して,既存のGMR素子の特性を凌ぐ超伝導スピントロニクス素子を創製することである。具体的には,① 超伝導体NbNとハーフメタルホイスラー合金Co2(Fe,Mn)Siの高品質なエピタキシャル積層膜を成膜した。② 強磁場中輸送特性の測定に取り組むことによって,NbNとCo2(Fe,Mn)Siの積層膜の超伝導特性と磁気特性を特徴づける物理パラメータを決定した。③ NbNとCo2(Fe,Mn)Siを用いた面直通電型の超伝導巨大磁気抵抗(CPP-SGMR)素子を作製して,その素子特性を評価した。 反射高速電子線回折とX線回折の測定から,MgO単結晶基板上に成膜したNbN/Co2(Fe,Mn)Si積層膜がエピタキシャル成長していることを確認できた。このNbN/Co2(Fe,Mn)Si積層膜に関して,① NbN層の上に成膜したCo2(Fe,Mn)Si層がバルクに近いの自発磁化をもつことから,Slater-Pauling則に従うハーフメタル特性をもつこと,② NbN層の超伝導転移温度がほぼ最高値である16Kであること,③ 表面臨界磁場Hc3が観測されたことから,平坦な表面のクリーンな超伝導が実現していることを明らかにした。これらのことは,NbN/Co2(Fe,Mn)Si積層膜が高品質な磁気特性と超伝導特性を有することを示している。 次いで,微細加工技術を駆使してNbNとCo2(Fe,Mn)Siの多層構造のCPP-SGMR素子を作製した。そのCPP-SGMR素子の特性を評価したところ,① GMR素子の特性曲線を有するCPP-SGMR素子の作製に成功したこと,② 微分コンダクタンス特性は,NbNとCo2(Fe,Mn)Siの界面で生じるアンドレーエフ反射に起因したゼロバイアスコンダクタンスピークを有することを明らかにした。以上のことは,今後の超伝導スピントロニクス分野への貢献と波及効果が期待できる研究成果である。
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