2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of magnetostatic wave resonator with anti-ferromagnetic metal.
Project/Area Number |
20K05308
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
家形 諭 福岡工業大学, 工学部, 助教 (00585929)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スピントロニクス / 静磁波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では磁性材料を用い、SAWフィルタに代わる2.5 GHz超で動作する次世代通信を支える静磁波共振子を実現することを目的としている。SAWフィルタでは弾性波と電気信号を相互変換することにより、ファイルとしての機能を実現しているが、熱膨張を起因としたばらつきにより、より高い周波数を扱ううえで安定した機能を実現することが困難になりつつある。本研究では磁石の波と電気信号を相互変換することにより、弾性波において常に課題となる熱膨張による機能制限を克服することを目的としている。 本研究では1段目の目標として反強磁性材料による磁気バイアスを利用した静磁波の反射を実証する。静磁波の媒質として静磁波の伝搬における損失をできるだけ低減する磁気緩和定数の小さな磁性薄膜材料NiFeを利用する。NiFeを超高真空チャンバーで成膜し、良好な磁気特性を得ることができた。 静磁波の媒体にはNiFeを利用し、NiFe上に反強磁性材料IrMnで構成される反射器をパターニングする。NiFe/IrMn多層膜を連続で形成し、その後イオン三リングによりパターニングする方法と、NiFe成膜後、レジストによりパターンを形成し、IrMnを成膜する方法のどちらを採用するべきかを検討した。前者はNiFe/IrMn界面が汚染されない一方、ミリングにより精度よくIrMnだけ削ることができない問題があり、後者は界面がレジスト塗布時に汚染されていしまう問題がある。 今回NiFe成膜後に大気暴露し、再びIrMnを形成し、NiFe/IrMn界面での磁気バイアスがどれだけ影響を受けるのか確認した。その結果、大気暴露後、NiFe/IrMn界面での磁気バイアスは消失した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標である「反強磁性材料による静磁波の反射を実証する。」ために磁性材料の成膜が安定してできるようになりつつある。磁気特性に関しては若干調整が必要な部分があるものの、おおむね望ましい特性がえられている。実験環境の改善は物流の滞りにより、予定よりおくれが生じた部分もあったが、予定していた備品も到着し、あとは実行するのみとなっている。 一つづつ改善して、次のステージに進むたびに予想外の新たに解決するべき課題が生じているが、着実に目標達成に近づいている。
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Strategy for Future Research Activity |
「試料作製」と「微細加工」プロセスを安定して稼働させれるようにすることが次のステップとなっている。「試料作製」においては昨年度若干の問題はあったものの、現在は解消されるめどがついており、「試料作製」を安定して実施できる環境を保持することが施策のひとつである。 また「微細加工」プロセスではパターニング設計やレジストの最適化を実行すること。また微細加工を実施できる環境を準備することを次の施策として予定している。 上記2つのプロセスを安定して稼働させる施策を実施しつつ、作製された資料の評価、具体的には静磁波反射器としての機能実証を評価する。 評価には電子スピン共鳴装置を利用し、シミュレーションと比較を行いながら、IrMnのパターニングにより、強磁性共鳴スペクトルの観測結果から評価する。電子スピン共鳴装置は所属機関にて所有しているため、改めて準備する必要はない。
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Causes of Carryover |
次年度予算は主に真空機器消耗品、試料基板などの消耗品、など機器の機能維持に利用される予定である。
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