2021 Fiscal Year Research-status Report
Materials design of two-dimensional octet AB compounds by bond engineering
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20K05324
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
秋山 亨 三重大学, 工学研究科, 准教授 (40362363)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 原子層物質 / グラフェン / vdWヘテロ構造 / 第一原理計算 / 二層ハニカム構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
AB型二元系材料を含むヘテロ構造の形成可能性に関する検討を前年度に引き続き行い、Bi2Te3とAB型二元系材料を含むファンデルワールス(vdW)ヘテロ構造の形成可能性に関する検討も行った。AB型二元系材料として16種類の材料を対象として二層ハニカム(DLHC)構造を採用し、ファンデルワールス相互作用を考慮した第一原理計算により凝集エネルギー計算を実行した。材料によっては、バルク状態での安定構造(閃亜鉛鉱構造あるいはウルツ鉱構造)よりもDLHC構造が安定となることを見出した。DLHC構造の安定化にはイオン性が重要な役割を果たしているものの、イオン性のみでは説明不可能な材料もあり支配因子の抽出にはダイポール相互作用の解析等のより詳細な検討が必要である。また、AB型二元系材料の新物質探索として、ヤヌス型原子層(表面と裏面で構成元素が異なる原子層)の形成可能性を検討した。GaPAs系(GaPとGaAsの組み合わせ)においてヤヌス型原子層が形成可能であることを見出した。これは、GaPとGaAsの格子不整合度が比較的小さいことに起因しており、格子不整合度が大きなGaNAs系においては混晶となるほうが安定となることが解った。さらに、機械学習を用いた材料探索を実施するために準備として、これまでの計算で得ているInAlN系超格子のバンドギャップに対して決定木分析による予測を試みた。外挿が困難で著しく再現性の低いデータ範囲があるものの内挿する場合では再現性良くバンドギャップ予測が可能であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたAB型二元系材料vdWヘテロ構造に対する検討に加えて、新規物質としてヤヌス型原子層に対しても成果が得られたことから、研究は順調に進捗しているものと判断される。高効率の材料探索実現に向けた機械学習を用いた材料探索の適用が今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度の検討により形成可能と考えられたヤヌス型原子層に注目し、その原子層物質およびvdWヘテロ構造に対する形成可能性の検討および物性探索を行う。これらの系における凝集エネルギー計算およびフォノン計算によりその安定性を評価し、さらにトポロジカル絶縁体および励起子絶縁体等の形成可能性を電子状態を解析する。また、vdWヘテロ構造に対してはこれまでは主にIII-V族化合物半導体とグラフェン(あるいはヘキサゴナルBN)の組み合わせを中心に取り扱ってきたが、II-VI族やIV-IV族に対してもvdWヘテロ構造の形成が考えられる。これらの系における凝集エネルギー計算およびフォノン計算により、vdWヘテロ構造の形成可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染防止対策により国内および海外出張をすることが不可能になり、当初予定していた旅費の執行が不可能になった。これらの旅費は翌年度に執行する予定であるが、感染状況によっては出張を取りやめて計算設備およびオンライン会議設備の拡充に対して執行することも検討している。
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