2022 Fiscal Year Research-status Report
Formation of sprayed semiconducting nano-particle layers and their device applications
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20K05327
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
吉田 俊幸 島根大学, 学術研究院理工学系, 講師 (50335551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 恭久 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (10314618)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ZnO / 微粒子層 / 薄膜トランジスター / 半導体 / ドーピング / 微粒子混合調整 |
Outline of Annual Research Achievements |
薄膜トランジスターは、通常、エピタキシャル層、多結晶層、アモルファス層をチャネル層として用いるが、本研究では微粒子層を使うことを目的としている。これは、プロセスの汎用性および低コスト性を著しく進め、大面積化、基板選択肢の拡大、さらには新しい動作原理を持つデバイスの開拓など、幅広い効果が期待されるためである。 2022年度の主な研究実績は、n-ZnOナノ粒子層の伝導特性の向上について他技術により形成されたZnOナノ粒子を用いた試験と、ZnOナノ粒子およびグラフェンの異種材料混合調整の試験である。 前者については2種類の粒子を用意した。一つはPhysical Vapor Synthesis (PVS)法によるものでN原子の混入が無いもの、もう一つは化粧品グレードであるが安価で大量使用に向いているものである。いずれも商用品を購入または試料提供を受けた。これらの粒子を用い、これまで取り組んできたプロセスでガラス基板上に微粒子層を形成可能な事を示した。今後、構造的、表面科学的および電気的特性評価を進めていく。 後者について、昨年取り組んだカーボンナノチューブの混合の条件が不十分で系統立った議論は出来ていないが、ZnOの粒径に対してチューブ長が長すぎ、ZnO粒子層は低抵抗化してもそれはZnOの特性では無くカーボンナノチューブの特性となることが推測できたため、今回はグラフェンを混合させて特性評価を行った。その結果、グラフェンの混合によっても抵抗値は下がることが分かった。今年度は条件の最適化には至らなかったが、混合比や撹拌条件によっては適切な抵抗値を得られることが予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
主力の大学院生の修了時期であったことや、新たに本テーマに参画する予定の博士後期課程の学生が家庭の事情で母国に一時帰国してしまったことなどにより、マンパワーが著しく落ちた年であったことが原因の一つである。また、新たな授業担当となり、対面およびオンデマンド資料の両対応のために大幅に時間が取られたことなども原因である。次年度は本テーマに携わる大学院生も増え、帰国していた博士後期課程の学生も復帰する予定なので、研究を進められる算段である。
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Strategy for Future Research Activity |
ZnOナノ粒子へのⅢ族元素ドーピングの検証を進める。現在Gaドーピングにある程度成功しているが、得られたZnO:Ga微粒子層の特性は不安定である。そのため、Ga拡散メカニズムの解明と条件の最適化を進める。具体的には、ZnO微粒子の状態、特に欠陥の種類と密度を変えながらGa拡散処理を施し、特性を比較する。またGa2O3粒子とZnO粒子の撹拌状態の影響も調べる。さらにロータリーキルン炉を使うことで撹拌しながら熱処理し、その効果も検証する。粒子層形成後の熱プレスの効果も検証する。これらにより、ZnO粒子へのGa拡散メカニズム解明と各種条件の最適化を進める。またIn2O3やAl2O3粒子を用いて、InやAl原子のドーピングについても検証する。さらにこれら微粒子層を使った薄膜トランジスタの形成と特性評価も進める。 異種材料の混合調整については、引き続きグラフェン混合の効果の検証を進める。
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Causes of Carryover |
理由の一つはコロナ禍による出張の自粛(出張直前の体調不良によるキャンセル含む)が挙げられる。また大学の新棟建設に伴う建物の一部取り壊しの対象となり、実験室の移動を余儀なくされ、それに伴い学会出張を自粛した。また、博士課程学生の急な一時帰国のために実験を進められず、スケジュールを延長し、それによる試薬やガスなどの消耗品の購入を遅らせたことも原因である。別記の通り、次年度は大学院生も増えるため残された予算を効果的に活用して研究を進める予定である。主な使途は試薬およびガスの購入と学会出張費である。
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