2023 Fiscal Year Research-status Report
Formation of sprayed semiconducting nano-particle layers and their device applications
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20K05327
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
吉田 俊幸 島根大学, 学術研究院理工学系, 講師 (50335551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 恭久 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (10314618)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ZnO微粒子層 / Gaドーピング / Inドーピング / 酢酸亜鉛 / 低抵抗化 |
Outline of Annual Research Achievements |
薄膜トランジスターのチャネルなど、従来半導体薄膜が使われていたプロセスへ半導体微粒子層を取り入れることは、低コスト化や大面積化、基板選択肢の拡大、新しい動作原理を持つデバイスの開拓など、幅広い効果が期待されている。本研究はそうした取り組みの一環である。本研究ではすでに、ガラス基板へスプレー法によるZnOナノ粒子層の形成と、そのトランジスタ動作の確認を行ってきたが、粒子層のシート抵抗が大きく(G-ohm/sq以上)特性の向上を妨げてきた。本課題の主な目的はZnOナノ粒子層のシート抵抗の低減化であり、そのためにZnO粒子へのドーピング技術の開発を進めてきた。 2023年度は、ZnO粒子へのGaドーピングの効率向上について取り組んだ。ZnO粒子をGa2O3粒子と一緒に熱処理しGaを熱拡散させているが、今回は粒子の混合条件を見直してより均一に混ぜることで、得られたZnO微粒子層のシート抵抗を2~3桁低減できることを確認した。また、Gaの熱拡散とZnO粒子の欠陥の種類との相関をいくつか見出し、意図的に特定の欠陥を増やした粒子に対するGa熱拡散効率の変化を確認した。 またGa2O3の代わりにIn2O3粒子を用いてInドーピングも試み、一定のシート抵抗値の減少効果を確認した。 さらに、酢酸亜鉛水溶液を溶媒としてZnO微粒子を分散させ、滴下法によりガラス基板上へZnO粒子層を形成した。これは、酢酸亜鉛が熱分解してZnO化し、ZnO微粒子層の隙間を埋めることで導電パスが増え、低抵抗化することを期待してのことである。取り組みを始めたばかりなので詳細は報告できないが、酢酸亜鉛溶液がホットプレート上で熱分解してZnO化すること、これを用いて得られたZnO微粒子層は確かに低抵抗化することを確認した。他にも、熱プレスとGaドーピングを組み合わせることでシート抵抗値の更なる低減効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ZnO微粒子層の低抵抗化条件の探索についての進捗は順調である。Gaドーピングの最適化を進め、さらにInやAlドープの可能性を検討した。 一方、計画で挙げた伝導メカニズムの解明については遅延している。しかし、熱プレスによる効果を確認できたため、プレスによる粒子密度の上昇が伝導パスを増やし、導電性の向上に寄与することが分かった。 エアロゾル・ガス・デポジション法の検討については、以前の報告と変わらず、実施は難しい状況である。 異種材料混合の検討については、以前の報告で挙げたカーボンナノチューブおよびグラフェンとの混合以降、新たな進展はないが、新しい方向の取り組みとして、酢酸亜鉛溶液を溶媒としたZnOナノ粒子分散液の作製と、それを用いたZnOナノ粒子層の形成と評価を開始し、良好な結果を得た。これについては引き続き取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ZnO微粒子へのGaおよびInの熱拡散ドーピングについて、これまで得た知見である熱処理前の粒子の混合条件やZnO粒子の欠陥とGa熱拡散との関係などを踏まえ、更なる最適化と粒子層の低抵抗化を進める。 伝導メカニズムの解明について、温度可変型のホール効果測定を進めると共に、粒子層の厚さ(層数)と導電性との関係に気になる振る舞いが見られたためその点についても検討を加える。 酢酸亜鉛溶液を溶媒としたZnO微粒子の分散液の利用について、電子顕微鏡観察やXRD測定なども加えたより詳細な調査を行い、最適な条件の探索と伝導メカニズムへの影響について検討を行う。
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Causes of Carryover |
学会発表用の旅費が、移動経路の変更に伴い当初計画より抑えられたため、次年度使用額が発生した。各種消耗品(主に真空装置の維持および試薬やガラス基板など)の費用として使用予定。
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Remarks |
本課題を含めた当研究室の取り組みに対して、SEMICON JAPAN 2023 アカデミアAward 2023の「優秀賞」を受賞した。
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