2021 Fiscal Year Research-status Report
Investigation on control of SiC surface and silicide-less contact using silicon-cap-annealing
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20K05328
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
花房 宏明 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 准教授 (70630763)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 炭化ケイ素 / Siドット / オーミックコンタクト / 表面欠陥 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は炭化ケイ素(SiC)半導体上に非晶質シリコン(amorphous-Si: a-Si)層を堆積し、熱処理する“シリコンキャップアニール(Silicon Cap Annealing: SiCA)”によりSiの融点をはるかに下回る温度でSi層がドット化し、さらにはシリサイド化を行わなくとも金属をSiCに接触させるだけでオーミックコンタクトが形成される特異な現象の研究を推進している。 本年度においては、Si層がドット化する原理解明について注力して研究を推進した。具体的には、SiCウエハ上に堆積するa-Si層の膜厚、SiCAの温度とその処理時間を変えることで、投入する熱エネルギーとa-Si膜中に内在するエネルギーを変化させた。 その結果、ドット化初期の状態を評価することが可能となり、これまで予期していなかった2つのドット化様相が示された。それぞれ、比較して低い温度でドット化が局所的に進行する領域と高い温度でドット化が生じる領域があることが示された。さらに、低い温度でドット化が進行した領域ではSiC表面の電子密度が異なっていると示唆される結果が得られた。以上のことから、局所的にコンタクト抵抗値が低い領域と高い領域がSiC表面に形成されていることが考えらえれ、オーミックコンタクトが形成されている領域も局所的に分布している可能性が考えられる。 また、分光光度計による光吸収スペクトルを評価した結果、アニール温度の上昇に伴う結晶化の進展、それに相応する吸収端の変化を取得した。特異な吸収端を示すことから、特徴的な欠陥の同定につながると考えている。 今後は局所的な電子密度分布の評価、Si凝集のエネルギー解析を進め、Si凝集の役割とバンド構造を明らかにし、オーミックコンタクトが形成される要因を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではSiC上にアモルファスシリコン(a-Si)層を堆積した後にアニール処理を行うシリコンキャップアニール(SiCA)の過程を経ることでなぜSiCに対してオーミックコンタクトが形成されるのかを究明することを目的に、Siドットの大きさと形状の制御方法獲得とドット化に伴いSiC表面状態の理解を全体の計画とし、本年度においてはSi層がドット化する原理解明についての研究と欠陥評価の研究を推進した。 ドット化の原理解明に関する研究では、新たなドット化のモードを見出し、a-Si層のドット化現象に関する理解が進展した。また、光吸収スペクトルの評価から、単純にSi層の結晶状態が変化しているだけではなく、欠陥導入に伴う吸収端の存在が示唆され、導入される欠陥の理解に必要な情報を得た。 令和3年度においては、Si層がドット化する現象の理解、導入される欠陥の評価を進めることを目標としており、最終年度に向けた準備を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度においては、まず、令和3年度において見出した2つのSi層ドット化モードの解析を行い、ドット化現象の原理解明を行う。これは申請時には計画していない新たに見出された事項であるが、研究目的と合致するため、研究を推進する。 続いて、計画通り、導入される欠陥の評価をPL発光測定やDLTS測定を行い、欠陥の特定を行う。また、光電子分光測定により最表面の電子状態の評価を行う予定である。 これらにより、Si層のドット化現象の理解とオーミックコンタクトが形成される要因を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
国際学会への旅費として計画したが、参加をしなかったため、実験消耗品費等に転じて使用した。しかし、残額が生じたため次年度へ繰り越すこととした。次年度において消耗品購入費として計画する。
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