2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of surface structure analysis method using Kikuchi pattern
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20K05330
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
重田 諭吉 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科(八景キャンパス), 客員教授 (70106293)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 表面構造解析 / 反射高速電子線回折 / 菊池パターン / 非弾性散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、表面構造の解析法として菊池パターンを用いる新たな測定手法の確立を目的として実施した。菊池パターンは非弾性散乱により形成された二次的入射波が種々の方向から入射し、各格子面からの回折波により直線状または曲線状の像を形成したものであるため、入射条件を変化させて測定して得られる多くの情報を含んでいる。種々の回折条件における情報は詳細な表面構造の解析に非常に有用であり、非弾性散乱確率を求めることで1枚の菊池パターンから微細な表面構造解析を行うことが可能と成る。 非弾性散乱の素励起を分別するために、阻止電位型のエネルギーフィルターを用いて散乱電子の分光を行った。初期の平面グリッドのフィルターではレンズ効果があるため、阻止電位グリッドを平面型から試料を中心とする球面グリッドに変更し、20kVで分解能1Vの高精度高圧電源により阻止電位を掛けることで、非弾性散乱の二次元エネルギー分布の測定を試みた。その結果、同心球面グリッドの形状的な歪みにより像が乱れる現象が取り去ることが出来ず、阻止電圧の変化が球面全体に一様にすることが出来なかった。しかし、平面グリッドによる測定の結果を解析し、やや粗いが表面プラズモンと固体プラズモンによるエネルギー損失スペクトルとその分布に関する基本的な結果を得ることができた。 これに並行し、菊池パターンの菊池エンベロープに沿った強度解析を詳細に行った結果、鏡面反射点の低角側では、鏡面反射から~0.2Å-1程度離れた位置に非弾性散乱強度の最大を持つような成分が存在することが分った。これは、表面プラズモンの分散が波数~0.2Å-1程度で平らになり状態密度が大きくなる位置と対応することから、菊池エンベロープの鏡面反射点の低角側では表面プラズモンの励起確率が増すと考え、この結果を国際会議で発表した。このことは、菊池パターンの強度を解析する上で非常に重要な情報である。
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