2020 Fiscal Year Research-status Report
Epitaxial abrupt interfaces of multinary compound semiconductors
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20K05354
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
西永 慈郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (90454058)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多元系化合物半導体 / 結晶成長 / ヘテロ界面 / 分子線エピタキシー / 太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
多元系化合物半導体は未知なる可能性を秘めた材料群であり、その積層構造による電子・光デバイスは、高機能化のみならず、製品の製造・使用過程における低環境負荷化を期待できる。しかしながら、多元系化合物の積層構造は、構成元素が形成時に熱拡散するため、急峻なヘテロ界面を得ることが非常に困難である。そこで、本研究の目的は急峻な多元系化合物半導体ヘテロ界面形成に関する学理を構築し、高効率な太陽電池の実現および量子効果デバイスへの応用を図ることである。初年度である2020年は薄膜太陽電池として実用されているCu(In,Ga)Se2(CIGS)に着目し、MBE法にてGaAs基板上に結晶成長させ、CIGS/GaAsヘテロ界面の急峻性を劣化させる要因について調査を行った。CIGSの結晶成長において、RHEED像がI族III族の組成比によって、変化することがわかった。この結果はCIGSの組成制御を“その場”に行うことができることを示しており、大変重要な結果といえる。MBE法は分子線供給比を精密に制御することができるため、再現性の高い結晶成長に成功した。I族richな条件下では、CIGS結晶中に異相(Cu2Se)が析出する。このCu2SeはGaAsと反応し、CIGSと砒化銅を形成することがわかった。砒化銅は金属であるため、CIGS/GaAsヘテロ界面において、電子正孔対の再結合中心として機能する。III族richな条件下では、基板温度が550℃であっても、急峻なCIGS/GaAsヘテロ界面が形成され、Cu、Na、SeがGaAs基板に拡散しないことがわかった。この結果は、I-III-VI2 / III-V 異種接合において、界面の反応を抑制できれば、理想的なヘテロ界面が得られることを示している。これらの研究成果は国際学会および国内学会にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度の予定していた、CdS/CIGS、CIGS/GaAsヘテロ界面のSTEM測定およびSIMS測定を完了した。NaおよびCu、Seの拡散に関して、成膜温度よりも、Cu濃度の効果が大きいことがわかった。この結果より、多元系化合物の組成制御が大変重要であることがわかった。次に液相Cu2Seを利用したCIGS結晶成長のメカニズムに関する考察を行った。これらの研究成果は、研究計画通りの結果であり、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に購入を希望していた四重極質量分析計は予算の都合上、購入を断念した。そのため、Fluxモニターを用いる化合物組成制御に挑戦する。成膜中の元素組成制御を成長中断して行い、I/III族比の精密制御を行う。VI族分子線の供給量で、バルク内の再結合速度が高まることがわかった。MEE法による低温成長によって、VI族元素の再脱離を抑え、高効率太陽電池の実現を図る。
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Causes of Carryover |
依頼分析費として予算を計画していたが、効率的な測定によって試料数を減らすことができた。次年度使用額は試料作製に必要な液体窒素代として使用する予定である。
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Research Products
(11 results)