2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on photopolymerizable resin for infrared region and application of optical communication device
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20K05356
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
杉原 興浩 宇都宮大学, 工学部, 教授 (30222053)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 赤外光重合 / 自己形成光導波路 / 光ピン / 酸素重合阻害低減 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の(1)ー(3)の3項目を実施した。 (1) 赤外光重合性樹脂の探索と最適化:本研究スタート時は、3成分系(モノマー、色素、ボレート系開始剤)を用いて波長1070 nmでの光重合を実施していたが、本研究において、アミン系光重合開始剤を付加した4成分系とすることにより、光重合閾値を3桁低減できた。本閾値低減のメカニズムを解明するために、他の複合材料系を調査した。その結果、アミン系材料を付加したことによる酸素重合阻害が低減されたことが主要因であることが明らかとなった。 (2) 赤外自己形成光導波路実験:開発した樹脂組成物を用いて、波長1.31 μmおよび1.55 μmの光通信波長での自己形成光導波路作製を試みた。所有している1.31 μmおよび1.55 μmの連続波(CW)ファイバー光源を用いて、いずれもシングルモード光ファイバー端からの自己形成光導波路の成長を観測した。1.31 μmでの重合閾値は、500 μW、1.55 μmでの重合閾値は、2 mWが得られており、光通信で使用するmW以下での光源からの光接続に十分な低出力での自己形成光導波路が実現できた。 (3) 半導体レーザー光源からの光ピン作製:上記の結果を踏まえて、mWレベルのCW半導体レーザー光源の出射光から、直接自己形成光導波路成長を実現した。光源の出射位置からの軸ズレがない光ピンが得られ、片端ではあるが、自動接続の効果が得られている。 本成果について、(1)は当初計画通り、(2)および(3)は当初計画以上の進展が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、赤外重合性樹脂の探索で、酸素重合阻害抑制効果あるいはドナー・アクセプタ効果のメカニズムを考えていたが、組成物の組み合わせで、酸素重合阻害抑制効果が強く現れ、本樹脂組成物を用いた自己形成光導波路実験とその光ピン作製まで実施できた。 本年度は、自己形成光導波路実験と光源選定までを計画していたが、実際の光源からの光ピンが実現でき、次年度の実施項目も半分以上クリアしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
樹脂組成物について、現在波長1.55 μmでは2 mWレベルの重合閾値となっており、当初目的のmWレベルは達成しているが、実用に供するには1 mW以下での重合が必要となる。そのための樹脂組成物の選定と組成比最適化が必要である。 また、自己形成光導波路を実現しているが、半導体レーザー光源と光ファイバー間の光ハンダ接続についてはまだ未実施である。実験系については本年度構築したため、双方向接続方式による光ハンダ接続について実施する予定である。
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Causes of Carryover |
学会発表旅費を計上していたが、新型コロナ禍で全てオンライン開催となり、未執行分が発生した。 次年度の物品費に組み入れ、有効に研究を加速する。
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