2020 Fiscal Year Research-status Report
運動量イメージング法を用いた軟X線領域でのアト秒ストリーク法の開発
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20K05358
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 智也 東京大学, 物性研究所, 特任助教 (90565227)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高調波 / 光電子分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来型の飛行時間型分光器の立ち上げを行った。特に設計したミューメタルシールドを取り付け磁場遮蔽を行った。飛行時間型分光器の性能チェックとしてXe原子のトンネルイオン化過程の光電子スペクトル計測を行いそのキャリアエンベロープ位相(CEP)依存性の取得に成功した。よって飛行時間型分光器の立ち上げは初年度で無事完了することが出来た。IRパルスのCEPの安定性も光電子スペクトルから確認することが出来た。更に光電子スペクトルのCEP依存性からパルス幅と光電場高度を断熱近似と比較することによって高精度で決定できた。真空チェンバー中の集光点でのパルス幅は13fs前後と見積もられた。その結果をFROGで測定したIRのパルス幅と比較し光電子スペクトルのCEP依存性からパルスを決定する手法の妥当性を評価した。この結果と手法の詳細はMizuno et al. PRA 103, 043121 (2021)の付録に論文掲載されている。 それと平行してNeを媒質としたIR光(波長1600 nm)の高次高調波を用いた軟X線発生を行いそのスペクトルを計測し、炭素吸収端を超える軟X線高調波の発生を確認した。エネルギーにして230eVから300eV程度までのブロードな高調波の発生に成功している。またアルゴンなどの既知の吸収スペクトルを計測し分光器の校正を行った。高調波発生のCEP依存性から孤立アト秒パルスの発生を確認した。以上のことことから軟X線の発生とそのスペクトル計測を実現できている。現在、IRと軟X線のポンプ-プローブ系を立ち上げ中であり、動作確認中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光電子分光器の立ち上げが完了し、軟X線領域の高調波の発生とそのスペクトルの計測が実現されていることから後は時間分解分光を行えばアト秒ストリークが実現できると考えられる。IRパルスのCEPも十分に安定しており孤立アト秒パルスの発生が確認できていることから障害は殆どないと思われる。また時間分解分光のセットアップもほぼ完成しており、現在その動作確認を行っている最中であるためおおむね順調に進んでいると考えている。二年度目にはアト秒ストリーク計測を実現できる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
アト秒ストリーク計測を行うと共に電場再構成のアルゴリズムの開発に着手する。初めは強電場近似を用いたアルゴリズムで計算を行い、次の段階としてDFTやより高度な計算手法を組み込んだアルゴリズムと比較検討を行う。同時に光電子イメージング装置の方の軟X線高次高調波ビームラインの開発を行い、そのポンプ・プローブ分光用の干渉計の構築を行う。
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Causes of Carryover |
コロナにより学会がオンライン開催になったことから旅費の支出が0円であったため生じている。使用計画としては真空部品などの消耗品に充てる予定である。
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Research Products
(9 results)