2022 Fiscal Year Research-status Report
超音速フリージェットPVD法を用いた磁性薄膜集積型光非相反素子の創成
Project/Area Number |
20K05365
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
横井 秀樹 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (90251636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯本 敦史 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (20383987)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光非相反素子 / 超音速フリージェットPVD法 / 磁性ガーネット / シリコン |
Outline of Annual Research Achievements |
光通信システムでは、光源に用いられる半導体レーザの発振安定化のため、光非相反素子である光アイソレータが必要不可欠である。近赤外領域では、光アイソレータを構成するとき、使用波長域で透明であり、大きな磁気光学効果を示す磁性ガーネットが用いられる。非相反移相効果を利用した導波路型光アイソレータは、ファラデー回転型素子のように位相整合条件を満足する必要が無く、印加磁界の制御も容易である。Siなどの高屈折率材料を導波層とする磁気光学導波路では、伝搬する光波に大きな非相反移相量が生じることが研究代表者により報告されている。本研究では、任意の位置に任意の材料を直接成膜できる超音速フリージェットPVD法により、Si導波層上に磁性ガーネット薄膜を直接成膜して磁気光学導波路を製作し、得られた磁気光学導波路を用いて光アイソレータや光サーキュレータを実現することで、シリコンフォトニクスの更なる発展に寄与する。 当該年度において、超音速フリージェットPVD法により、SOI (Silicon On Insulator) 基板上に局所的にSiO2膜を成膜し、SiO2膜が堆積されていない部分へCe置換Y3Fe5O12 (Ce:YIG) を成膜することで磁気光学導波路を製作した。今回用いた導波路製作プロセスでは、Si、Ce:YIGどちらの媒質に対してもエッチングプロセスが不要である。磁気光学導波路はCe:YIG/Si/SiO2構造となっており、導波路内を伝搬する光波に大きな非相反移相量が生じることが期待できる。製作した磁気光学導波路に導波光学に基づいて光波を結合し、出力端における近視野像を観察したところ、光波が十分に閉じ込められて伝搬していることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究業績の概要に記載の通り、当該年度において、準備したCe置換Y3Fe5O12 (Ce:YIG) ターゲットを用いて、SOI (Silicon On Insulator) 基板上にCe:YIGクラッド層を有する磁気光学導波路を製作できた。あらかじめSOI基板のSi層上の一部にSiO2を成膜することで、Siや磁性ガーネットにエッチングプロセスを用いることなく、磁気光学導波路を実現できた。研究の推進方策として予定していたSilicon On Insulator (SOI) 基板に局所的にマスクを形成し、超音速フリージェットPVD法により磁性ガーネット薄膜を成膜するプロセスを用いることで、三次元光導波路を製作できることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究業績に記載した局所的SiO2成膜を利用した磁気光学導波路製作プロセスと並行して、SOI基板上のSi層をリブ型導波路等に加工し、その上に超音速フリージェットPVD法を用いてCe:YIGを成膜する製作プロセスについても検討する。両プロセスにおいて実現される磁気光学導波路は断面構造が異なるため、それぞれの導波路に対して、屈折率等の材料定数を用いて導波路型光素子の設計を行う。導波路型光非相反素子として、非相反移相効果を利用した干渉計光アイソレータ、非相反な導波モード-放射モード変換を利用した光アイソレータなどを設計し、設計に基づいて試作する。
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Causes of Carryover |
本研究課題における研究成果を投稿して成果を発表する予定としていた国際会議が、研究課題採択以降に新型コロナウイルスの感染拡大により開催中止となるなどしており、当初計画していた予算執行ができなかったため、次年度使用が生じている。 今年度、学術雑誌や国際会議などに研究成果を投稿し、成果を発表する際の予算として使用することを計画している。
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Research Products
(1 results)