2021 Fiscal Year Research-status Report
Direct immobilization technique of noble metal nanoparticles on resin surface using reaction filed induced by radiation
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20K05382
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清野 智史 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (90432517)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 樹脂 / 貴金属 / 放射線 / めっき / 抗菌 / 抗ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
樹脂基材のモデルとしてABS樹脂板を使用し、Pdナノ粒子およびAgナノ粒子の固定化を行った。それぞれの金属イオン溶液に樹脂板を含浸した状態で、放射線(加速器電子線もしくはコバルト60ガンマ線)を照射した。放射線照射により誘起される化学反応により、金属イオンの還元反応と樹脂表面の改質反応が同時進行することで、樹脂表面に貴金属ナノ粒子が固定化される。出発原料として過剰量の金属イオン水溶液が使用されていることが課題となっていた.その使用量低減を劇的に低減させる新たなプロセスとして、金属イオン水溶液と樹脂基板をビニールバッグに封入した後に真空脱気を行う手法(脱気法)を検討した。作製したPd/ABS試料のSEM観察を行ったところ、提案したいずれの手法でもABS表面にPdナノ粒子が固定化されていることが分かった。さらに,従来手法では散見された粗大な粒子がほとんど見られなかった。溶液を密着させ液の厚みを小さくしたことにより, Pd粒子の粒成長が抑制されたものと考えられる。提案手法により,金属使用量を劇的に低減することができた。抗微生物応用を意図し、作製したAg/ABS試料の物性及び抗微生物特性の評価を行った。Pdと比較し、Agは樹脂表面への固定化量が非常に少ないことが分かった。一方で、担持量が10 ng-Ag/cm2と微量であるにもかかわらず、高い抗菌性と抗ウイルス性を発現することを見出した。さまざまな感染症対策に貢献しうる技術として期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ粒子合成および物性評価については、特段の問題なく進行しており、研究計画全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの成果を踏まえ、様々な樹脂素材への技術適用の可能性を継続して追求する。また放射線照射後の樹脂表面に微細な凹凸が生成していることが見出され、無電解めっき特性や抗微生物性能に寄与している可能性が指摘されている。共焦点レーザー顕微鏡を用いた手法によりその定量化を行い、表面改質機構の解明と特性との相関解明を目指す。新型コロナウイルス感染拡大による社会的な影響により、公的試験期間における抗微生物試験に非常に時間を要することが、研究の妨げとなっている。限られた試験点数の中で最大限の成果が得られるよう、材料合成技術の高度化と的確な研究計画の立案を進める。
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