2020 Fiscal Year Research-status Report
石炭の地下ガス化におけるラジアルフラクチャリング現象の解明
Project/Area Number |
20K05393
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
児玉 淳一 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70241411)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐分利 禎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (40415782)
福田 大祐 北海道大学, 工学研究院, 助教 (80647181)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 石炭 / 地下ガス化 / DIC / ひずみ計測 / 高温 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,画像解析により固体の表面の変形を計測できるDigital Image Correlation (DIC)を用いて,燃焼中の石炭の変形の計測手法を確立することを目的とし,次の3点について検討した。(1)燃焼中の石炭表面の画像を鮮明にかつ効率良く撮影できる条件を見出す。(2)石炭表面の全域のひずみが適切に計測できる条件を求める。(3)燃焼中の石炭のひずみと温度の関係を明らかにする。 供試体は次の手順で製作した。①砂子炭鉱から採取した石炭ブロックから,10cm×10cm×5cm程度の角柱状の石炭試料を用意する。②作業中に石炭試料が破損するのを防ぐために,鋼製の型枠内に耐熱性のモルタルを用いて,石炭試料を固定する。③石炭試料中に温度を計測するための熱電対を2個取り付ける。 上記(1)に関しては,次の知見が得られた。供試体と表面撮影用のカメラの距離は1mに設定すれば良い。排気装置による生成ガスの排気は画像を鮮明に保つ効果がある。照明(ライト)を用いて夜間に撮影することにより,安定した画像が得られる。 上記(2)に関しては,次の知見が得られた。黒色の耐熱ペイントコートを石炭表面に塗布し,色彩が一様になるようにコーティングすることにより,石炭の不均一性による計測結果のばらつきを小さくできる。油性のホワイトペンを用いて,白のマーキングをすることにより,画像のコントラストが強くなり,ひずみの分析が容易になる。マーキングのサイズを直径約1mmにすることにより,供試体の表面の全域のひずみを分析できる。 上記(3)に関しては,次の知見が得られた。温度の上昇とともに石炭試料は次第に膨張し,温度が400-500℃の間で膨張量が急に大きくなる。しかし,温度が500℃以上になると,逆に石炭試料は収縮し,き裂が発生する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に予定していた「ひずみゲージとDICによるひずみの計測結果の比較検討」を行うことができなかった。これは,COVID-19の影響のため,予定した実験を2回キャンセルせざるを得なかったためである。その他は,ほぼ,当初の計画通りに進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度には,まず,令和2年度に予定していたひずみゲージとDICによるひずみの計測結果の比較検討を実施し,DICによるひずみ計測の妥当性について検証する。次に,ラジアルフラクチャリングの観察と石炭の熱伝導率・粘結性の影響に関する検討を行う。具体的には,熱伝導率と粘結性が異なる石炭試料を用意し,令和2年度に確立した計測・分析条件の下で石炭の加熱実験を行う。石炭試料は,粘結性の高い瀝青炭と低い褐炭とし,事前に工業分析を実施する。また,数種類の瀝青炭に対して熱伝導率の測定を行い,熱伝導率が異なる3種類の試料を選定する。そして,ラジアルフラクチャリングの発生の有無・長さと石炭の熱伝導率,粘結性(炭種)との関係を明らかにする。 令和4年度には,熱・力学モデルによるラジアルフラクチャリング現象の解釈を行う。実験結果に基づいた数値解析モデルを製作して,熱応力解析を実施する。そして,引張の熱応力が発生する温度と発生領域を分析し,実験結果を合理的に解釈する。石炭の熱伝導率と線膨脹係数は令和3年度に評価した値を用い,ヤング率とポアソン比は一軸圧縮試験により求める。その他の物性値は文献調査により推定する。実験結果と解析結果の間に有意な差がある場合は,許容できる範囲内で熱・力学物性値やモデルの境界条件を修正し,実験結果を再現できる条件を見出す。
|
Causes of Carryover |
COVID-19の影響のため,本年度に予定していたひずみゲージとDICによるひずみの計測結果の比較検討を行うことができなかった。このため,この検討で使用予定であった物品費と出張旅費が不要となり,次年度の使用額が生じた。上記の検討は令和3年度に実施する予定であり,次年度使用額はこの実験のための物品費と出張旅費に充てる予定である。
|