2020 Fiscal Year Research-status Report
坑井検層による地球物理データが導く微小地震き裂面方向逆解析のベイズ統計学的展開
Project/Area Number |
20K05394
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
椋平 祐輔 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (60723799)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 圭佑 東北大学, 理学研究科, 助教 (20743686)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 坑井検層 / 誘発地震 / ベイズ統計学 / 断層面解 / 群発地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は,下記に示す1)フレームワーク構築を中心に研究を実施した。 まず,ベイズ統計学的なインバージョンプロセスを構築する 。地震波形からの 断層の破壊様式を記述するモーメントテンソル インバージョンは地震学分野で確立された手法であるが,本研究では,既存き裂分布と地殻応力を,モーメントテンソルインバージョンの逆解析プロセスに導入する。既存き裂,地殻応力を事前確率として,MT の解の範囲を事後確率としてベイズ統計学的に推定する。具体的には, 波 形情報から求めた MT モデル候補の中で,既存き裂・応力情報と矛盾するものを除外 し,事後確率が最も高いものを解として選択する。 本年度は研究分担者と本研究で提案する手法に関して念密な議論を徹底的に交わし,さらに周辺の応用分野や,現象についても議論を深めた。本研究で使用するモーメントテンソルインバージョンのコードの整備など基本的な部分の準備がほぼ完了し,データへの適用も開始した。むしろ,上記ディスカッションの中で本研究は新たな展開をみせ,これまで注水時の誘発地震の解析で蓄積されてきた知識や解析手法が,深部で発生する群発地震に応用できることを発見し,その解析も開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず,本年度は研究分担者と本研究で提案する手法に関して念密な議論を徹底的に交わし,さらに周辺の応用分野や,現象についても議論を深めた。本研究で使用するMTインバージョンのコードを入手し,全てを実装した。本研究で使用する予定のBasel地熱フィールドのデータを応用し,解析周波数等のチェックを行い,本手法の適用に耐えうるデータであることを確認した。下記サブプロジェクトのためにそれ以降踏み込んだ解析は次年度に回すことになったが,基本的なコード・データの整備は全て完了し,ここにベイズ的な逆解析部分を取り込んでいく準備は完了した。 現在はコードとデータ間のチューニングを行なっている段階であるが,この部分で少し時間を要した。 また,上記の通り,本研究は新たな展開をみせ,これまで注水時の誘発地震の解析で蓄積されてきた知識や解析手法が,深部で発生する群発地震に応用できることを発見し,その解析も開始した。ここでは,誘発地震のリスク評価に用いられてきた解析を群発地震データに使用し,新たな水理パラメータを得ることが出来ないか検証した。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度で整備したモーメントテンソルインバージョンのプログラムにベイズ統計学的 インバージョンプロセスを実装する。 近年ビ ッグデータ解析の成熟とともに,ベイズ統計学のライブラリは高水準言語である Python や Julia などで利用可能なものが多くそれを用いる。その後,模擬波形データ, 地殻応力,既存き裂分布を用いて,与えた模擬波形の基となるモーメントテンソルを再現出来るか実証する。また,各物理 データの感度解析を実施し,本手法のパフォーマンスを評価する。 実装したプログラムを用いて,本手法を実データに適用する。対象フィ ールドはスイス,バーゼル EGS フィールドで発生した微小地震である。本フィールドで は坑井の検層により既存き裂,地殻応力が求 められており,それを用いて本手法の実デ ータ上でのパフォーマンスを評価する。
|
Causes of Carryover |
今年度はコロナウイルス感染症蔓延の影響により,思うように対面での議論や,出張等が行えず,当初予定していたのとは必ずしも一致しない予算執行額となった。
|
Research Products
(6 results)