2021 Fiscal Year Research-status Report
露頭画像の深層学習による二酸化炭素貯留層の地質不均質性の再現と数値化
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20K05396
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
千代延 俊 秋田大学, 国際資源学研究科, 准教授 (40526430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間所 洋和 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (10373218)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CCS / 貯留層 / 堆積相解析 / 機械学習 / セマンティックセグメンテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,日本海側秋田地域でCCSの貯留対象層である秋田県男鹿市生鼻崎に露出する北浦層で地質調査を実施した。堆積相解析の結果から対象層が重力流堆積物の塊状,コンボリュート等の堆積構造をもつ中粒,極細粒砂岩と,塊状から葉理を伴うシルト岩の互層を主体とし,物性の観点では,砂岩分級度はσ0.5から2.7となり淘汰度は砂岩層の岩相に依存したものであることが明らかとなった。また,分級度と孔隙率には相関があり,分級度が低い値ほど20%程度の高孔隙率となる傾向を示した。また,砂岩層がもつ堆積物の色と物性に注目すると,色と平均粒径,歪度,分級度に相関が認められた。 以上のようにアナログ的に露頭から地質学的情報を収集できるのは,露頭においては一部である。そのため,砂岩層全体の情報を獲得するために堆積物の構造や色に注目した画像解析を試みた。ここでは,一枚の砂岩層に注目して,近接撮影画像から堆積物の色パターンを区分して教師データを作成し,対向伝播ネットワークによる機械学習を実施した。その結果,砂岩内での塊状,葉理や火炎構造をもつ岩相など全般的に岩色に基づいた解析結果は良好で,機械学習でも70%程度の精度で側方変化予想(ここでは色)が可能であった。一方で,深層学習では種々のネットワークバックボーンを試用してAccuracyの向上を図った。その結果,従来の機械学習と比較して,90%以上の精度で砂岩とシルト岩の区分が可能で,側方変化予測が格段に向上した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象地層の地質調査はほぼ終了し,セマンティックセグメンテーションに用いる教師データの作成を進めている。一方で,機械学習とAIによる深層学習の比較実験では深層学習による精度の向上が認められ,その成果は一部国際学会で公表している。そのため,計画は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,これまでは砂岩層の単層におけるセグメンテーションを実施していたが,砂岩泥岩互層の露頭全体へと進展させ,深層学習による岩相・物性の場合分けを試みる。既に地質学的な各種物性記録は取得済みであることから,露頭全体のセグメンテーションが可能であれば,流体シュミレーション用の地質モデルを構築へと段階を進める。
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Causes of Carryover |
COVID-19により,参加予定の国際学会が中止となり渡航費が繰り越しとなったため使用額が生じた。今年度は最終年度で結果も順調に得られていること,およびCOVID-19の影響も収まりつつあり実開催での国際学会が計画されている。そのため,今年度は国際学会参加渡航費として当初計画どおり使用する予定である。
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