2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K05404
|
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
柳川 勝紀 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (50599678)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 憲成 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 准教授 (00470592)
原口 昭 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (50271630)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 石炭 / メタン生成 / コールベッドメタン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,微生物生態学と生物地球化学の観点に基づき,コールベッドメタンという石炭中に含まれるメタンの生成に関わる微生物と寄与と役割を明らかにすることを目指している.初年度は,北部九州の炭田として福岡県大牟田市と熊本県荒尾市にまたがる三池炭鉱近辺に着目し,露頭から石炭試料を採取した.また,周辺地下水の水質分析とガス分析も並行して実施した.粉末状にした石炭を有機元素分析に供し,試料中の炭素,窒素,水素,硫黄の含量を調べたところ,試料の多くは亜歴青炭に分類される石炭化度であることが示された.また,それらの炭素安定同位体比は約-24‰でありC3植物が起源であることも推測された.蛍光顕微鏡を用いたイメージング解析や16S rRNA遺伝子などの定量解析から,石炭1gには数千万もの微生物細胞が生息することも示された.そこで,16S rRNA遺伝子を対象とした分子生態学的解析を実施したところ,一部の石炭にはThermoplasmata綱に属するメタン生成アーキアが全群集の10%近く存在することが判明した.一方,メタン生成に関わる鍵酵素遺伝子であるmcrAに基づく分子系統解析からは,嫌気的メタン酸化アーキアに近縁な配列のみが検出され,16S rRNA遺伝子に基づく結果と必ずしも整合的ではなかった.いずれのアーキアも石炭中でのメタン循環を示唆するものであったことから,今後その活性や反応基質について着目し,分子生態学的解析と生物地球化学解析を薦めていく予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微生物活性を計測する解析までは実施できなかったが,申請研究を進める上で好適な調査地を発見することができたことは大きい.分子生態学的かつ生物地球化学的な解析が可能な環境も整い,一連の手法も確立したことから,次年度以降はより多くの試料分析できる状況にある.
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度の調査地以外にも複数の候補地を見出しており,それらの調査地で同様な研究を実施する予定である.さらに.検出されたアーキアの遺伝子について定量解析を実施することで,それらの分布とその存在量を明らかにし,メタン循環への影響を推定する.また,それらの基質や活性について着目し,石炭からのメタン生産をコントロールする因子についての情報を獲得する.
|