2021 Fiscal Year Research-status Report
廃アスベストの再資源化:高機能性材料への新規転換プロセス開発
Project/Area Number |
20K05405
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
本郷 照久 埼玉工業大学, 工学部, 准教授 (50434303)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アスベスト / 石綿 / クリソタイル / 再資源化 / タルク / シリカ / 吸着 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、本研究では実験の安全性を考慮し、クリソタイルの模擬試料としてタルクを用いた。タルクを酸処理することによって、Mgは水溶液中に溶出し、Siは不溶解残渣中に固体成分として残った。 不溶解残渣の化学組成分析を行ったところ、約93mass%がSiO2であることが分かった。この他に、微量成分としてMgOやFe2O3が含まれていた。また、粉末X線回折測定を行ったところ、シャープな回折ピークは認められず、不溶解残渣は非晶質物質であることが分かった。 この不溶解残渣をシリカ資源として用い、アルミノケイ酸塩系多孔質物質の合成プロセス開発を行った。不溶解残渣を溶かしたアルカリ水溶液と塩化アルミニウム水溶液を反応させることで、中空球状のアルミノケイ酸ナノ粒子を合成することに成功した。合成の際は、各ステップでのpH・温度・時間を適切に設定することが極めて重要であことが分かった。 タルクの比表面積は約6m2/gであったが、酸処理することでマイクロ孔が発達し、不溶解残渣の比表面積は約270m2/gまで上昇した。不溶解残渣から合成したアルミノケイ酸ナノ粒子では、マイクロ孔およびメソ孔の形成が確認され、比表面積は約540m2/gであった。 タルクはアセトアルデヒドに対してほとんど吸着能を有していないが、不溶解残渣やアルミノケイ酸ナノ粒子は吸着能を有していることが分かった。特にアルミノケイ酸ナノ粒子は、吸着速度と吸着容量の点で一般的な吸着材よりもはるかに優れていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言などの行動制限のため。
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Strategy for Future Research Activity |
抽出したMgを用いて機能性材料の合成プロセス開発と、その機能性評価を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による行動制限などにより、昨年度から大幅に実験計画を変更した。そのため、今年度は既設・既存の設備・器具類などで実験が可能であった。また、計画していた出張も取りやめたため、次年度使用額が生じた。 次年度に予定している研究では、備品類の導入が必要である。生じた次年度使用額は、これ等に充てる予定である。
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