2022 Fiscal Year Research-status Report
廃アスベストの再資源化:高機能性材料への新規転換プロセス開発
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20K05405
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
本郷 照久 埼玉工業大学, 工学部, 教授 (50434303)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アスベスト / 石綿 / クリソタイル / タルク / 不溶解残渣 / 吸着 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も実験の安全性を考慮し、クリソタイルの模擬試料としてタルクを用いた。 メカノケミカル処理を施したタルクを80℃に加熱しながら酸処理することによって、タルクに含まれるMgを水溶液中に抽出し、不溶解成分としてSiを固体試料中に分離した。昨年度に引き続き、Siを含む不溶解残渣の吸着材としての有効利用法を検討するために、そのキャラクタリゼーションをより詳細に行った。この不溶解残渣の主成分はSiO2(約93mass%)であり、フーリエ変換赤外分光光度測定からも、アモルファスシリカに帰属されるピークが確認された。走査型電子顕微鏡観察からは、不溶解残渣の大きさは数μmから25μmに分散しており、その形態は不定形であることが分かった。さらに、ゼータ電位測定を行ったところ、等電点はおよそpH2.5であり、その表面は強酸領域以外では負の電荷を持っていることが分かった。 不溶解残渣の吸着能評価は、陽イオン性のメチレンブルーを用いて行った。メチレンブルー水溶液(10 mg/L)のpHを7.0に調整して吸着実験を行ったところ、メチレンブルー濃度は9.0 mg/Lまでの低下にとどまった。このとき、メチレンブルー水溶液のpHは7.0から6.0まで低下しており、その吸着反応にpHが影響していることが考えられた。そのため、メチレンブルー水溶液のpHを11に調整したところ、その濃度は2.0 mg/Lまで低下し、不溶解残渣は高pH領域で優れたメチレンブルー吸着能を示すことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症による行動制限がほぼなくなったため、今年度に関しては順調に研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
水溶液中に抽出されたMgから陰イオン交換材料を合成するプロセスを開発し、その機能性評価を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症による行動制限があったため、本研究計画課題の遂行に遅れが生じているため。 遂行が達成できていな研究計画項目を次年度に行う予定である。
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