2020 Fiscal Year Research-status Report
Exploration of submarine hydrothermal systems based on high resolution magnetic anomalies
Project/Area Number |
20K05411
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
北田 数也 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭技術開発プログラム), 主任研究員 (00539786)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 磁気異常 / 高分解能磁気探査 / 海底熱水系 / 沖縄トラフ / 深海曳航調査システム(ディープ・トウ) |
Outline of Annual Research Achievements |
無人探査機(ROV)や深海曳航調査システム(ディープ・トウ)を活用した高分解能磁気探査手法を構築し,詳細な磁化強度分布を推定することで,沖縄トラフ等に分布する海底熱水系の海底下構造を明らかにすることが本研究の目的である.具体的には,調査船や自律型無人探査機(AUV)による調査で取得した地磁気および海底地形データを収集・編集し,得られたデータを解析して広域の磁化強度分布を推定する.さらに,ROVやディープ・トウを活用した高分解能磁気探査手法を新たに開発し,海底熱水系周辺の詳細な磁化強度分布を推定する. 本年度は,海洋研究開発機構(JAMSTEC)の深海調査研究船「かいれい」によるKR20-12航海で地球物理調査を行い,中部沖縄トラフ海域において地磁気・海底地形データを取得した.また,これまでにJAMSTECの調査船およびAUVで取得された既存の地磁気・海底地形データを収集・編集し,本年度取得したデータを含む新たなデータセットを構築した.特に,久米島西方沖の海底火山群については,調査船を用いた高密度磁気探査により明らかにした磁化強度分布の特徴を取りまとめ,国際誌に投稿した. 高分解能磁気探査手法の開発では,JAMSTECのROVオペレーションチームとの議論を重ね,詳細仕様を決定した.特に,海底近傍での高密度観測を実現するため,当初計画の水平曳航方式から鉛直吊り下げ曳航方式へ変更した.本探査システムの試作後,多目的実験水槽において磁力計曳航試験を実施し,曳航時の姿勢変化について評価を行った.また,KR20-12航海では,ROV「かいこう」に本探査システムを搭載し,実海域でのデータ取得を試みた.しかしながら,海況不良により潜航が中止となったため,本探査システムの磁気ノイズ,および取得可能な磁気異常シグナルを評価することができなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
沖縄トラフの既存の地磁気および海底地形データの収集・編集を行うとともに,新たなデータセットの取得を行った.次年度以降も引き続き,調査航海を実施する予定であり,沖縄トラフ全域にわたるデータセットの構築が順調に進んでいる.また,取得・収集した地磁気・海底地形データをもとに,スケールの異なる磁気探査データの解析手法を検討した.本年度は,久米島西方沖海域を重点海域とし,調査船を用いた高密度磁気探査により明らかにした海底の磁化強度分布の特徴を取りまとめた. 高分解能磁気探査手法の開発では,JAMSTECのROV「かいこう」に搭載可能な探査システムを試作し,実海域試験に向けた準備を進めた.当初計画を前倒しし,KR20-12航海においてデータ取得と評価を実施する予定であったが,残念ながら海況不良のため調査潜航が中止となった.次年度も当初計画通り,ROVやディープ・トウを活用した高分解能磁気探査システムの実海域試験を計画している. 以上から,本研究はおおむね順調に推移していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
本課題では,沖縄トラフの海底熱水活動域を主な対象地域としている.しかしながら,今後,沖縄トラフを対象とした調査航海が限られるだけでなく,海底火山などの海域においても高分解能磁気探査システムの活用を目指しているため,伊豆小笠原弧の海底熱水活動域をサブ対象地域として追加する.これにより,ROVやディープ・トウを活用した本探査システムの実海域試験の機会を十分に確保できる.また,得られた結果をもとに,磁気ノイズ,および取得可能な磁気異常シグナルを評価し,次年度中に,試作した高分解能磁気探査システムの改良に取り組むことができる. 本課題の3つの項目,a)「地磁気および海底地形データセットの構築」,b)「海底近傍での高分解能磁気探査手法の開発」,c)「スケールの異なる磁気探査データ解析手法の構築」の実施内容については,当初計画通り進め,海底熱水系の詳細な磁化強度分布を明らかにし,海底下地質構造の系統的な理解を目指す.また,得られた成果を取りまとめ,関連する学会や学術雑誌で公表する予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により乗船予定の調査航海が令和3年度に延期となったため,観測にかかる消耗品類の購入費用や乗船旅費等として確保していた予算が残った.繰り越した予算は,令和3年度の調査航海で使用する予定である.
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