2023 Fiscal Year Annual Research Report
Optimal control simulation of ultrafast coherent dynamics of ferroic systems
Project/Area Number |
20K05414
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大槻 幸義 東北大学, 理学研究科, 准教授 (40203848)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 最適制御 / 量子制御 / スピン / レーザーパルス / 量子演算 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度までに研究課題はほぼ遂行できている。2023年度への期間延長は研究成果を広く発表するのが目的である。構造変化を誘起する振動モードに対する非共鳴パルスを用いた制御法に関しては,最適制御シミュレーションの結果を解析式を使って解釈した。複雑な複素確率振幅を操作するため,ラマン遷移に敢えて積極的に非共鳴な成分を導入する制御機構を明らかにした。成果は学術誌Physical Review Aに発表するとともに学会などで報告した。強秩序系のような凝縮相においては,共鳴遷移を避け吸収される光エネルギーを必要最小限に抑えるため,非共鳴レーザーパルスを使った量子制御が有効である。ただし,非共鳴レーザーパルスは包絡線関数を通してのみ物質と相互作用するため,波動関数の制御は限定的であると考えられていた。本研究は複素確率振幅の制御の基本要素,分布,相対位相,両者の同時制御すべてに対し,場合研究を通して高確率で制御できることを明らかにした。光振動数の共鳴条件が必ずしも必須ではないことから,制御に用いるレーザーパルスの選択肢を大きく広げられることを示せた。 強磁性体のコヒーレントなスピン反転制御に関しては,ダイヤモンド窒素空孔の電子・核スピン量子ビットでモデル化し,ノイズがない場合から有色~白色ノイズ由来の様々なデコヒーレンスの下で,コヒーレントおよびインコヒーレントな制御励起源を最適化した。デコヒーレンスによる系の純粋度の減少がコヒーレントなスピン反転を難しくしていることを系統的に示すことができ,「反転できなかった」という最新の実験を支持する結果となった。また,反復的な位相推定アルゴリズムの実装シミュレーションでは,典型的なスピンコヒーレンス時間では3桁程度の精度で水素分子のfullCI計算可能であることを示した。これは最小の量子コンピュータによる量子計算と位置付けることができる。
|