2022 Fiscal Year Annual Research Report
Method to measure vibrational spectra of proteins in aqueous solution for detection of intermolecular interactions using solid/liquid interface
Project/Area Number |
20K05415
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
近藤 正人 筑波大学, 数理物質系, 助教 (20611221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 孝章 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70232337)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 振動和周波発生分光 / シリカコート / シランカップリング / 界面 / 振動スペクトル / 基板支持脂質二分子膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
固体と液体の(固液)界面にタンパク質を固定し,界面敏感な振動分光法である振動和周波発生(SFG)分光を適用する.この着想に基づき,水溶液中のタンパク質の振動スペクトルの高感度測定を実現することが,本研究の目的である. 前年度までに,シリカ薄膜をコートしたCaF2基板の作製に取り組み,この基板のシリカ上に準備したシランカップリング膜の振動SFGスペクトルを,基板と空気,および,基板と水の固液界面で得る段階まで到達した.この試験では,ポリエチレングリコール(PEG)鎖を含む親水性のシランカップリング剤を用い,水層を下側,つまり,PEG鎖を下側に向けた配置で測定した.固液界面で得たスペクトルのCHバンドの符号が,この向きと矛盾していなかったことから,妥当なスペクトルが得られたと判断した. 最終年度の研究は,この試料のスペクトルの再現性を得る実験から開始した.だが,すぐに大きな問題に気づいた.それは,基板のシリカコート面に準備した試料のスペクトルが,数日の時間スケールで変化してしまうことである.詳しく調べるため,リン脂質のラングミュアブロジェット(LB)膜を,シリカコートした面としていない面それぞれに準備し,各々のスペクトルの経時変化を追う実験を行った.その結果,明らかに,コートした面の劣化が大きいことを見出した.シリカコートには,スパッタ法を用いている.そこで,その条件を再検討し,基板の質を改善する試みを行った.だが,その途中,シリカコート面に準備したLB膜から,SFG信号が全く見られなくなるという,より深刻な問題が生じた.原子間力顕微鏡で調べ,その要因は平面性の劣化であると分かりつつあるが,現時点でも解決できていない.年度後半は,その解決と並行して,この問題に影響されずに行える実験として,固液界面の脂質二分子膜と相互作用したペプチドの振動スペクトルを得る研究を計画し,進めた.
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