2021 Fiscal Year Research-status Report
量子共鳴する動的なマルチ量子センタにおける新規機能の発見・解明と先導的提案
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20K05419
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金 賢得 京都大学, 理学研究科, 助教 (30378533)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナノマテリアル / 光励起ダイナミクス / 非平衡水素流動 |
Outline of Annual Research Achievements |
Nタイプで自己ドープしたコロイドHgS量子ドットは、ドープしないHgS量子ドットと比べて電子を多く含み低エネルギー伝導帯軌道であるLUMOまでを占有する。この系は、赤外領域の光電素子として興味深いだけでなく、価電子帯からは離れた伝導帯での電子の光励起ダイナミクスを追える面白さがある。本研究では、超高速のバンド内オージェ過程がどのように生じるか物理的起源を理論的に計算し、従来のバンド外オージェ過程との違いを議論した。 もう一つの成果として、核量子性が顕在化する非平衡水素分子流を初めて計算することに成功した。カーボンナノチューブを通る非平衡分子流は、分子輸送を明らかにし、ナノ流動を確立するための重要なモデルシステムである。従来の経路積分法に基づく計算手法では、強い核量子性を示す水素分子の非平衡流をシミュレートすることは困難だった。本研究では、非平衡流下でも水素分子のリアルタイム軌道を計算できる量子分子動力学法を利用して、非平衡流は水素分子をより凝縮させ、カーボンナノチューブ表面近くでの吸着を促進し、分子を流動させることを発見した。カーボンナノチューブ断面上の横方向の分子ダイナミクスを抑制することにより、カーボンナノチューブの軸方向に沿って運動量がより効率的に伝播するようになる。このような流れに起因する自律秩序は、静かな平衡状態だけでなく、非平衡状態での水素分子ダイナミクスと吸着を研究することの重要性を示唆しており、効率的な水素液化および貯蔵のための新しい戦略を開く。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初よりもより高精度なhybrid functionalによる第一原理分子動力学計算を行うことになったため、少し進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
マルチ量子センタの計算を完成させる。
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Causes of Carryover |
研究進行状況により、人件費が一時的に不要になったため。
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