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2020 Fiscal Year Research-status Report

高圧下中性子回折を駆使した氷の水素結合対称化の直接観察

Research Project

Project/Area Number 20K05425
Research Institution一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発

Principal Investigator

町田 真一  一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発, 中性子科学センター, 研究員 (30554373)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords氷 / 水素結合対称化 / 中性子回折 / 結晶構造解析 / 高圧 / ダイヤモンドアンビルセル
Outline of Annual Research Achievements

氷は、広い温度圧力条件下でさまざまな構造を取ることが知られており、その中の一つとして、超高圧下で結晶中の水素結合が対称化した構造が形成されると考えられている。水素結合の対称化とは、氷結晶構造内の水素原子が隣接酸素原子間の中央に配置される現象であり、古くからこの対称化氷の解明に取り組む研究が多くなされてきた。しかしながら、これまでの研究では結晶構造中の水素の位置を直接探査する方法がなかったことから、対称化氷の詳細な構造を明らかにすることはできていない。そこで本研究では、水素原子を直接観測できる中性子実験の手法を用いることで、対称化氷の解明を行うことを目的とした。
本年度は、これまでに開発を行ったダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用い、J-PARCのPLANETビームラインにおいて、氷の高圧中性子回折実験を行った。DACとは、先端を平らにした2つのダイヤモンドアンビルで、ガスケットと呼ばれる金属板を挟むことで加圧を行う装置であり、予備実験において35万気圧までの高圧発生に成功している。本研究では、氷の水素結合対称化が起きることが予測されている100万気圧以上の圧力を目指して高圧中性子回折実験を行ったが、70万気圧程度でアンビルの破損が起きた。このため、中性子回折データの取得は70万気圧までにとどまったが、この圧力までの氷の構造解析を行うことができた。
また、高圧実験と並行して、得られた中性子回折データの解析用プログラムの開発に取り組んだ。これは、DACを用いた中性子回折実験時に出現するダイヤモンドからの不要な回折線の除去や、アンビルによる中性子ビームの吸収を補正するもので、本プログラムを用いることで、解析可能な中性子回折プロファイルを得ることが可能となった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は、高圧発生装置・ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を利用し、J-PARC・MLFの高圧中性子ビームラインPLANETにおいて、氷の高圧中性子回折実験を行うことを目標として研究を進めてきた。実際の成果としては、70万気圧までの氷の中性子回折実験を行うことができた。本年度は最終的な目標である100万気圧の圧力達成には至らなかったが、その一方で、今後の対称化氷の解明を行うための高圧中性子実験実施の見込みを立てることができた。
また、解析環境の開発も本研究の目標の一つにしていた。本年度、DACを用いた中性子回折パターンの強度補正用のプログラムを開発することができ、得られた高圧中性子データの解析を行うことが可能となった。

Strategy for Future Research Activity

今後、ダイヤモンドアンビルセル(DAC)により、100万気圧を超える圧力下で氷の高圧中性子回折実験を行う計画である。そのための課題として、さらなる高圧力を安定に発生することができるよう、DAC装置の改良を行う必要がある。具体的には、ダイヤモンドアンビルや、これを支える部品の形状などについて有限要素解析などを用い、装置の構造の最適化を行う計画である。
また、高圧実験では、試料のひずみがたまることから選択配向などが起き、構造の解析を正しく行うことができないことが多々ある。そこで本研究では、試料のひずみを解消することを目的に、試料の加熱処理を行う計画である。現在J-PARCの高圧ビームラインPLANETでは、DAC用のレーザー加熱システムの導入が進められており、本レーザー装置を用いることで100万気圧のような超高圧下においても、構造解析を行うに足る十分なレベルの回折パターンを得ることを目指す。
以上のような実験環境の開発を行ったうえで中性子回折実験を行う。得られた中性子回折パターンにより、氷の超高圧下における結晶構造を明らかにして、水素結合の対称化への知見を取り付ける。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] DACを用いた高圧中性子回折実験2020

    • Author(s)
      町田真一, 服部高典, 佐野亜沙美, 舟越賢一, 阿部淳
    • Organizer
      第61回高圧討論会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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