2022 Fiscal Year Research-status Report
New method for characterization of plastic crystals using terahertz spectroscopy
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20K05443
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
丹野 剛紀 秋田大学, 地方創生センター, 准教授 (70390721)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 配向性秩序-無秩序相転移 / 柔粘性結晶 / テラヘルツ分光 / 熱分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに研究を行った数種の柔粘性結晶のうち、特に相転移がテラヘルツスペクトル上に明瞭に表れるしょうのうについて、その配向性秩序-無秩序相転移を集中的に調べた。テラヘルツ分光を用いて相転移温度の不純物濃度依存性を調べ、さらに融点測定装置により融点を測定した。加えて、裏付けとして示差走査熱量測定も行い、おおまかな状態図を作り上げた。 結果としては、しょうのうへの不純物(しょうのうに似た化合物)の添加によって、配向性秩序-無秩序相転移温度が100度以上も変化することが分かった。一方、融点には大きな変化は現れなかった。柔粘性結晶を冷却デバイスに応用する際に特に重要なパラメータとなるエントロピー変化は、不純物添加により顕著に減少した。相転移の際に、配向の無秩序化以外にエントロピーを増大させる因子の存在が示唆される。 また、この過程で、配向性秩序-無秩序相転移を示す新たな物質も見つかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パンデミックによる実験の遅延は完全に挽回した。新しい柔粘性結晶など、想定していなかった発見もあり、成果は挙がっているが、論文や学会などでの成果発表は追いついていない。
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Strategy for Future Research Activity |
しょうのうとその類縁物質およびそれらの混晶において興味深い現象が多くみられることから、令和5年度もこの系に集中して研究を進める。 具体的には、低周波数帯振動の量子科学計算、格子欠陥が熱物性やテラヘルツスペクトルに与える影響の考察、混晶の組成の精確な評価などである。DSCなど他の手法も活用して、2元系混晶の詳細な状態図を完成するとともに、相転移温度と格子欠陥、エントロピー変化との相互のかかわり方を定性的につまびらかにする。 以上の内容を総合し、柔粘性結晶の相転移に際してダイナミックに変化する格子欠陥の態様とテラヘルツスペクトル上の変化とを論理的に結び付け、テラヘルツ分光が柔粘性結晶の格子欠陥の評価法として有効であることを実証する。
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Causes of Carryover |
海外出張を行わなかった等の理由で次年度使用額が生じた。令和5年度において、試薬の購入や共同利用機器の利用料などに充てる。
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