2021 Fiscal Year Research-status Report
膜と粒子のソフトマター複合系における創発ダイナミクス
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20K05447
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
濱田 勉 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (40432140)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ソフトマター / リポソーム / 相分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
相分離したベシクルを、飽和脂質(高相転移温度)、不飽和脂質(低相転移温度)、コレステロールから作成し、正電荷を持つ脂質との静電相互作用を利用して負電荷コロイド粒子をベシクル膜面へ吸着させた。前年度に引き続き、温度コントローラーを使って、膜面の相分離状態の変化やベシクル曲率の変形を誘導させ、コロイド粒子と膜の動きを観察した。ベシクルの正電荷脂質の混合比やコロイドの有無に依存する膜の変形パターンについてデータを取得した。 また、外場として流動場を利用し、非平衡環境下のベシクルダイナミクスについて調査した。ずり応力により、ベシクル膜面上で相分離ドメインが運動や集積を示すことが分かった。ドメインの運動に関する画像データを解析し、動きの外場依存性について詳細を明らかにした。さらに、数値シミュレーションを用いて実験結果の再現を試みた。相分離ダイナミクスを記述するモデル方程式に移流項を加え、流動場での相分離ドメインの動きを計算した。結果、顕微鏡実験で得たものと同様のドメインの運動挙動を再現することに成功した。そして、これらの結果をまとめた論文の執筆を進めた。加えて、この非平衡システムを膜-コロイド複合系へと展開した。ドメインおよび膜面上の粒子の位置情報をリアルタイムで計測し、ベシクル球面にてドメインと粒子の運動の相関について解析を進めた。今後、引き続き温度や流動場を利用して、ベシクルとコロイドの複合的なダイナミクスの解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非平衡環境下でのベシクルダイナミクスや、膜-コロイド複合系に関するデータを得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
膜とコロイドの協同的な動きの解析を進めると共に、実験結果を再現する数理モデルの構築や数値シミュレーションについて検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染予防のため出張を控えたことで旅費が抑えられた。また、実験系に大きな変更や追加が必要無く、論文作成や数値シミュレーション等も進めたため、物品費が抑えられた。次年度は、物品費および人件費に使用する計画である。
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