2020 Fiscal Year Research-status Report
多彩な発光色を示す凝集誘起発光分子の創製とメカノフルオロクロミック特性の解明
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20K05457
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
村岡 宏樹 岩手大学, 理工学部, 准教授 (50546934)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 凝集誘起発光分子 / 固体構造 / 固体発光 / 分子間相互作用 / メカノフルオロクロミズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、テトラ(2-チエニル)エチレン(TTE)を基軸とした凝集誘起発光(AIE)分子を創製し、そのメカノフルオロクロミック(MFC)特性を解明することを目的とする。 令和2年度はTTEの4つのチオフェン環上を様々なアリール基で修飾した標的分子群、テトラキス(5-アリール-2-チエニル)チオフェンの合成を実施した。基本骨格となるTTEをN-ブロモスクシンイミド(NBS)にて臭素化することでテトラキス(5-ブロモ-2-チエニル)チオフェンを合成した。これを鍵中間体として用いて、パラジウム触媒を用いたカップリング反応を行い、電子供与性並びに電子吸引性アリール基をチオフェン環上に導入することで標的分子群の合成を達成した。合成した分子群については、核磁気共鳴法、質量分析法、元素分析法を用いて構造を確定した。また、再結晶によって単結晶を作製し、単結晶X線構造解析を行うことで結晶構造を明らかとした。結果として、これら標的分子は、結晶中において、二つのアリールチエニル基がC=C二重結合に対して共平面構造を取り、残り二つのアリールチエニル基がC=C二重結合に対して直交する特異な構造を取ることが明らかとなった。また、これら標的分子は、分子間CH-π相互作用によって規則的に配列して結晶を構築していることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標的分子として設計したテトラキス(5-アリール-2-チエニル)チオフェンの系統的な合成を達成し、それらの結晶構造の詳細(分子構造、分子配列、分子間相互作用)を明らかとした。現在、メカノフルオロクロミック特性評価の前段階として、合成した一連の標的分子群の凝集誘起発光(AIE)特性、すなわち溶液中単分子として存在する状態と固体中分子が凝集した状態となった際の発光特性変化を調査している。独自に設計した標的分子群の合成と構造解析を達成し、物性評価のステージまで研究を進めることができたため、研究計画通りに進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、凝集誘起発光分子として設計・合成したテトラキス(5-アリール-2-チエニル)チオフェンの発光特性評価を実施する。まず、有機溶媒中、標的分子が溶媒和された単分子として存在する場合の発光強度を測定し、その後、貧溶媒として任意の割合で水を添加して標的分子の凝集体を形成させ、分子凝集体形成に伴う発光強度変化を測定する。これにより、標的分子群が凝集誘起発光(AIE)特性を有するかを明らかとする。その後、メカノフルオロクロミック特性評価を実施する。具体的には、再結晶にて得られた標的分子群の結晶性固体を磨砕することでアモルファス性固体へと相転移させ、分子配列と分子間相互作用の変化に基づく発光波長と発光効率の変化の詳細を解明する。さらに、アモルファス化した固体を加熱または溶媒蒸気にさらすことで、再結晶化による発光の復元が可能かを調査する。また、結晶とアモルファス間の相転移による発光色変化 (メカノフルオロクロミズム(MFC))を目視で確認する。一連の標的分子群について系統的に調査し、MFCの発現と可逆性の有無、MFC特性と固体構造の相関について明らかとする。
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Research Products
(7 results)