2021 Fiscal Year Research-status Report
Optical resolution of weak acids with chiral amidines
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20K05458
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小玉 康一 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (90509712)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光学分割 / 有機結晶 / キラリティー / 不斉認識 / 水素結合 / アミジン / フェノール / 軸不斉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、弱酸性化合物であるフェノール類に対して、ジアステレオマー塩法による光学分割を適用するために、新規な光学分割剤として強塩基性のキラルなアミジンを開発し、その性能を評価することを目的としている。 令和3年度は前年度の結果を踏まえて、ラセミ化しにくい無置換キラルアミジンの原料として、第4級不斉炭素を有するキラルカルボン酸であるデヒドロアビエチン酸に注目した。まず昨年度に確立した5段階の変換反応を経て、デヒドロアビエチン酸から収率22%で目的の無置換アミジン(1)を合成できた。合成した1は旋光性を示したことから光学純度は低下していないと考えられる。 次に1を光学分割剤として、軸不斉化合物であるビフェノール類の光学分割を試みた。その結果、1は1,1'-ビ-2-ナフトール(BINOL)とジアステレオマー塩を形成し、1回の再結晶によって収率94%で純粋なBINOLのエナンチオマーを得ることができた。さらに光学分割剤1は6,6’-ジメチル-2,2’-ビフェノールにも適用することができ、良好な収率で純粋なエナンチオマーを得ることができた。このように1を用いることで、誘導化を必要とせず、直接ビフェノール類の光学分割が可能であった。BINOLと1の難溶性ジアステレオマー塩の結晶構造解析から、無置換アミジン1に由来する2組のアミジニウム水素のうち、1組はBINOLとの塩形成に関与しており、もう1組がBINOLの芳香環との相互作用によって、その不斉識別に寄与していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の課題であった無置換キラルアミジンのラセミ化の抑制に成功し、その合成に成功した。さらに得られた無置換キラルアミジンの光学分割剤としての性能を評価した。期待した通りに、いくつかのフェノール類の光学分割ができることが実証されたことから、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の研究によって、無置換アミジンによって軸不斉フェノール類の光学分割に成功したため、令和4年度は分割対象となるフェノール類の適用範囲の拡大を目指す。また他のキラルカルボン酸を原料とした無置換キラルアミジンの合成を試み、BINOLをはじめとするフェノール類の光学分割に適用可能であるかどうかを検討することによって、本光学分割法の一般性の検証を行う。
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Causes of Carryover |
令和2年度からの次年度使用額があったため、令和3年度も次年度使用額が生じた。 最近の社会情勢によって有機合成用の試薬および汎用溶媒の価格が上昇しているため、令和4年度には予定より多くの支出が見込まれる。
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