2020 Fiscal Year Research-status Report
Development and function evaluation of tetracene derivatives having extremely high light-durability
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20K05465
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
北村 千寿 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (60295748)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 有機合成 / 多環式芳香族 / アセン / テトラセン / 光物性 / 光耐久性 / 有機半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベンゼン環が直線方向に縮環したアセンは優れた光および電子機能を示すため有機半導体として有望であるが、可視光と酸素の両方にさらすと光分解が進むため、高い光耐久性を有する誘導体の開発が重要である。アセンの1つとしてテトラセン誘導体に着目し、光耐久性を極限にまで高めたテトラセン誘導体を目指して、アセンとしての性質を大きく損なうことのないように、インデンまたはシクロペンテン縮環を行った合成を行った。クロスカップリング反応の足掛かりとなる臭素原子を導入したインデノテトラセン誘導体を出発原料に用い、薗頭カップリング・鈴木-宮浦カップリング・シクロペンテン縮環を行った分子を合成した。インデン縮環に関しては、テトラセンの4つあるベンゼン環(端から順にA, B, C, D環と呼ぶ)の片側のB,C環の位置、シクロペンテン縮環については、反対の片側のC,D環の位置にもつものが、高い光耐久性をもつことを明らかにした。さらに、シクロペンテン環にメトキシフェニル基を有する誘導体を合成し、Scholl反応を用いて脱水素閉環による共役系の拡大を行った。この共役系が拡大された分子は、閉環前よりもむしろ光耐久性が低下し、共役系の拡大は光耐久性に重要な分子設計ではないことを明らかにした。新しい誘導体合成の試みとして、出発原料をテトラセンでなく、その還元体であるテトラヒドロテトラセン(シクロヘキサン縮環アントラセン)に変えて、インデン縮環部分を異なる芳香族に変更した分子の合成を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス流行の影響を受け、令和2年4~6月にかけて研究室が実質的に閉鎖状態となり、研究の進行が滞った。また、当初計画していた合成計画が予定通りに進まずに微修正を余儀なくされ、目標分子の合成の途中で年度の終わりを迎えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今までのテトラセンを出発原料に用いる合成法に代わり、末端の1つのベンゼン環をシクロヘキサン環に変えた分子を新しい出発原料に用いて合成を進める。最終の1段階手前の分子の合成に至ったため、今後、この性質の調査を行い、引き続き、新しい分子の合成を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス流行の影響を受け、令和2年4~6月にかけて研究室が実質的に閉鎖状態となり、研究の進行が滞ったため、その分だけ試薬の購入予定が後倒しになった。令和3年は問題なく研究が進んでいるため、余った金額は4,5月の間に消費する予定である。
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Research Products
(3 results)