2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development and function evaluation of tetracene derivatives having extremely high light-durability
Project/Area Number |
20K05465
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
北村 千寿 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (60295748)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 有機合成 / 多環式芳香族 / アセン / テトラセン / 5員環縮環 / 光耐久性 / 酸化還元 |
Outline of Annual Research Achievements |
テトラセン骨格に1つのインデン縮環と1つのシクロペンテン縮環を行ったテトラセン誘導体は、著しく光耐久性を有する分子である。このような分子の誘導体を多く創出するための合成手法の開発は重要と考えられる。このシクロペンテン縮環の導入方法として、ブロモ基を足掛かりに対称型のジアリールアセチレンを用いたシクロペンテンアニュレーションを用いた。この方法を用いると、シクロペンテン縮環部位に2個の芳香族置換基を導入することが可能である。ここで、非対称型のアルキルアリールアセチレンを用いれば、シクロペンテン縮環部位に芳香族置換基とアルキル基を一つずつ導入した誘導体の生成が予想される。この時、芳香族置換基とアルキル基が付く位置の違いによって2種類の立体異性体の生成が予想されたので、実際に試すことにした。生成物をクロマトグラフィーで分離することができ、マススペクトルから予想構造であることを確認した。その1H NMRスペクトルからは、2種類のうちの1つの異性体が単離できたことが示唆された。結晶性が低く、X線単結晶構造解析を行うことができなかったため、空間的に近接した水素原子の情報を得るNOESY測定を行った。この結果、サイズの大きな芳香族置換基が分子の外側を向く位置に、一方、アルキル基が分子の内側を向く位置に存在することを突き止めた。このような生成物ができる原因を、分子軌道計算を用いて、反応機構からの考察を行った。非対称型のアルキルアリールアセチレンのアルキル基をプロピル基に固定し、アリール基を置換フェニル基やチエニル基に変えるなど5種類の誘導体の合成に成功した。これらの光安定性は、高いもので4週間で90%残存、低いものでも70%残存の結果を示した。また、全ての化合物は可逆な酸化波と還元波を示す、電気化学的両性物質であった。
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