2020 Fiscal Year Research-status Report
高周期典型元素を中心とするヘテロアレン型分子の創製と系統的物性解明
| Project/Area Number |
20K05468
|
|---|
| Research Institution | Rikkyo University |
|---|
Principal Investigator |
菅又 功 立教大学, 理学部, 助教 (80646886)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
| Keywords | ヘテロアレン型分子 / 高周期典型元素 / カルコゲン / カルベノイド |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
カルベン等価体である、シリル置換カルベノイド(Ph2MeSi)2CLiBrを活用して、一連の高周期典型元素を中心とするヘテロアレン類縁体>C=E=C<を合成単離し、これらの特異なベント型累積二重結合に起因する特異な性質を明らかとすることを目的とする。アレン(R2C=C=CR2)は、置換基や配位子により中心炭素の酸化状態が変化し、異なる性質を発現することから近年盛んに研究が行われている。ごく最近、申請者らが合成に成功している、高周期16族元素の硫黄およびセレンを中心とするヘテロアレン型分子ビス（メチレン）スルファンおよびセラン(>C=Ch=C<, Ch = S, Se)の特異な構造や性質を鑑み、一連の元素特性を反映したユニークな物性発現を指向して、一連の高周期典型元素を中心とするアレン型分子の創製研究を遂行する。
令和２年度は、ビス（メチレン）カルコゲナンの系統的な性質解明を行う目的で、テルルを中心とするビス（メチレン）テランの合成・単離を行った。第五周期元素であるテルルと第二周期元素である炭素の多重結合は非常に弱く、これまでにほとんどその合成・単離例はない。そのため、本目的化合物の合成・単離はアレン型分子の系統的調査のみならず、炭素ーテルル間多重結合の性質の解明にもつながり、学術的に極めて重要である。シリル置換カルベノイドとテルル粉末を低温で反応させ、後処理を速やかに行うことで目的のビス（メチレン）テラン(>C=Te=C<)の合成・単離に成功した。その炭素－テルル間の結合は多重結合性を有しており、その多重結合性に起因した青緑色を呈していた。現在、ビス（メチレン）カルコゲナンの系統的性質解明のため、種々の試薬との反応を行っている。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
テルルを中心とするヘテロアレン型分子、ビス（メチレン）テランは予定通り、合成・単離することに成功したが、その性質解明には至っていない。また、高周期１５族元素を中心とするアレン型分子の合成も検討を行う予定であったが、コロナ禍により実験協力者である学生の通学が約３カ月間認められなかったため実験の進行が遅れてしまった。
|
| Strategy for Future Research Activity |
令和３年度は、高周期１６族元素を中心とするヘテロアレン型分子、ビス（メチレン）カルコゲナンの性質解明のため、それらの反応性について調査を行う。それとともに、ビス（メチレン）カルコゲナン部位をπ共役系分子に組み込んだ分子の合成・単離を目指す。
また、これまでのヘテロアレン型分子の合成方法を鑑み、高周期１４，１５族元素を中心とするアレン型分子の合成も検討する予定である。
|
| Causes of Carryover |
令和２年度はコロナウイルス蔓延の影響により、実験協力者の減少および学会の開催中止やオンライン開催によって出張がなくなったため、それらの費用が削減の理由である。
令和３年度も同様の状況にあり、出費は低くなる可能性があり、当初の予定額よりも少なく交付申請を行った。費用は試薬や消耗品へ計上する。
|
Research Products
(5 results)
