2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K05477
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
中村 光伸 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (50285342)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 色素集合体 / 核酸 / 構造転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
キラリティーは自然界の根本的特徴の一つで、特に分子が集合して螺旋構造を形成した「超分子キラリティー」は生命活動の解明や機能性材料開発の上で重要な要素である。申請者は核酸を鋳型に蛍光色素をナノ空間に集合させて、色素集合に基づく超分子キラリティーと特異的蛍光の発現に成功した。この超分子キラリティーと蛍光出力を、外部刺激に応答して立体構造を転移させる核酸の特性を使って制御できれば、キロプティカル分子スイッチとして新たな価値を創出できる。 本研究では、構造転移可能な塩基配列を持つ核酸を鋳型にして蛍光色素をナノ空間に配列させた集合体を構築し、鋳型核酸の構造転移を駆動力にして色素の並べ替え(再配列)と再配列に対応した蛍光出力を実現する。 2020年度はグアニン―シトシンの繰返し配列を持つ核酸の中央に複数の蛍光色素であるピレンを導入した人工核酸の合成に成功した。この人工核酸は緩衝溶液中、0.1 M, NaCl存在下でヘアピン型の二重らせんを形成し、複数のピレンはヘアピンのループ領域で集積していると考えられる。円偏光二色性(CD)スペクトルよりヘアピン型の二重らせんは右巻きらせん構造であることを確認した。加えてピレンの吸収領域に正の励起子相互作用CDシグナルが現れたことから、ピレンは右巻きらせん状に配列していることが明らかになった。さらに5 M, NaCl存在下では核酸のヘアピン型二重らせんは左巻き構造に転移し、それに伴ってピレン集合体も左巻きらせん状に再配列することが励起子相互作用CDシグナルの反転により示された。また、このピレン集合体を持つヘアピン型二重らせんからはピレンエキシマー蛍光が観察され、右巻き二重らせんから左巻き二重らせんへの構造転移によりピレンエキシマー蛍光の強度が変化することから、ピレンの再配列に対応した蛍光出力が実現できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響により研究の開始が遅れたため、当初予定であった分子動力学計算による再配列後の空間配列の決定とCD滴定が未だ達成されておらず、現在遂行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は分子動力学計算により再配列後の空間配列を決定する。また、CD強度の塩濃度に対するプロットより、色素再配列が起こり始める塩濃度を求める。未修飾の二重鎖核酸についても同様のCD滴定を行い、核酸の構造転移が起こる塩濃度と比較することで色素再配列に要するイオン強度を明らかにする。さらに温度による可逆的な色素再配列を検討する。左巻き二重鎖-色素集合体のCDスペクトルの温度依存を調べて、温度上昇による転移により核酸のCDと色素間の励起子相互作用CDが反転することを確かめる。また、再配列前から再配列後までの最小エネルギー経路を算出し、この最小エネルギー経路に沿って構造を最適化して機構を解明する。 2022年度は再配列前後の蛍光量子収率、寿命の変化を調べ、超分子キラリティー変化との相関を明らかにする。つまり再配列に伴う色素間の距離、重なり、二面角等の変化が蛍光特性にどのように反映されるのかを解明し、多重出力型分子スイッチとしての性能を評価する。また、直線偏光励起による蛍光スペクトルおよび寿命の異方性を測定し、外部刺激による再配列前後の色素集合体の運動性も評価する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況がやや遅れている分、次年度使用額が生じた。現在遂行中の分子動力学計算による再配列後の空間配列の決定およびCD滴定に使用する。
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Research Products
(2 results)