2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K05477
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
中村 光伸 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (50285342)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 色素集合体 / 核酸 / 構造転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子が集合して螺旋構造を形成した「超分子キラリティー」は生命活動の解明や機能性材料開発の上で重要である。申請者は核酸を鋳型に蛍光色素をナノ空間に集合させて、色素集合に基づく超分子キラリティーと特異的蛍光の発現に成功した。この超分子キラリティーと蛍光出力を、外部刺激に応答して立体構造を転移させる核酸の特性を使って制御できれば、キロプティカル分子スイッチとして新たな価値を創出できる。本研究では、構造転移可能な塩基配列を持つ核酸を鋳型にして蛍光色素をナノ空間に配列させた集合体を構築し、鋳型核酸の構造転移を駆動力にして色素の並べ替え(再配列)と再配列に対応した蛍光出力を実現する。 2022年度はエーテル構造を有する非ヌクレオシド型のピレン修飾リンカーをグアニン―シトシンの繰返し配列を持つ核酸の中央に複数導入した人工核酸がアミド型リンカーと同じくヘアピン型の二重螺旋を形成し、ピレンはヘアピンのループ領域で集積していることを明らかにした。また、これまでのアミドリンカーと比べ、長寿命でかつ高い量子収率のエキシマー蛍光が観察された。加えて、シトシンの5位にピレンおよびジフェニルアントラセン修飾したDNAの分子動力学計算を行った。その結果右巻きから左巻きへの構造転移に伴い、ピレン同士およびジフェニルアントラセン同士の配向が変化すること、さらにそれらのCDスペクトル計算では強い励起子相互作用CDシグナルとその反転が現れる構造であることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響およびその他業務の多忙により当初計画であった再配列に伴う色素間の距離、重なり、二面角等の変化が蛍光特性へおよぼす影響、多重出力型分子スイッチとしての評価、直線偏光励起による蛍光スペクトルおよび寿命の異方性、外部刺激による再配列前後の色素集合体の運動性評価に着手するのが遅くなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度はシトシンだけでなくグアノシン、アデノシンの8位にピレン、ジフェニルアントラセンを連結したDNAの合成を行い、核酸の構造転移に伴う蛍光色素の再配列前後の蛍光量子収率、寿命の変化を調べ、超分子キラリティー変化との相関を明らかにする。つまり再配列に伴う色素間の距離、重なり、二面角等の変化が蛍光特性にどのように反映されるのかを解明し、多重出力型分子スイッチとしての性能を評価する。また、直線偏光励起による蛍光スペクトルおよび寿命の異方性を測定し、外部刺激による再配列前後の色素集合体の運動性も評価する。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の影響およびその他業務の多忙により当初計画であった、再配列に伴う色素間の距離、重なり、二面角等の変化が蛍光特性へおよぼす影響、多重出力型分子スイッチとしての評価、直線偏光励起による蛍光スペクトルおよび寿命の異方性、外部刺激による再配列前後の色素集合体の運動性評価に着手するのが遅くなった。これらの理由により差額が生じた。令和5年度に遅れている研究計画の遂行にあたり該当助成金を使用する予定である。
|
Research Products
(5 results)