2020 Fiscal Year Research-status Report
自己会合型アロステリックレセプターの開発と超分子キラリティーの記憶・転写
Project/Area Number |
20K05478
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
河合 英敏 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 教授 (50322798)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | アロステリック効果 / 分子カプセル / 超分子キラリティー / 水素結合 / 有機触媒 / 分子認識 / 超分子ポリマー / 自己複製 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、プロペラ型分子レセプターの自己会合を介したサブユニット型キラルアロステリック分子の開発を目的として研究を行っている。この目的のもと、2020年度には以下の3つの研究を進めてきた。 1) 2枚羽根型アロステリックレセプターを用いたアミノ酸の分子認識能調査:先に合成してきた末端にウレア基を持つ2枚の羽根を軸部位を介して連結したレセプターにおいて、アミノ酸を認識することでCDスペクトルでCotton効果が表れるとともに、アミノ酸の種類によっては温度によってその符号が逆転する特異な現象を見出した。 2) 3枚羽根型プロペラ分子を用いた自己会合二量体の形成と分子認識能調査:末端に種々のアミド置換基を有する羽根部を有するプロペラ分子を10種以上合成し、その自己会合挙動を調査した結果、多くのプロペラ分子が二量体形成能を持つ一方で、ゲスト会合能を有する二量体と会合能を示さない2種の自己会合様式が存在することが明らかになってきた。前者は二量体内部にハロ置換芳香族分子を内包できることを明らかにした。後者は会合することでキラルな二量体となる超分子キラリティーを発現することがわかり、そのラセミ化速度の調査を行った。 3) アロステリックレセプターを用いた自己複製伸長型超分子ポリマーの構築:先に開発してきたヒドリンダセン型アロステリックレセプターにイミン形成能を付与し、レゾルシノール部位およびアミノ基末端を持つゲストとの会合に伴いイミン形成能が活性化することを利用した鋳型分子の複製挙動を調査した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的としていたプロペラ分子の自己会合による超分子キラリティーの発現が確かめられるとともに特異なゲスト包接挙動を見出すことができたため。また、自己複製能を有するアロステリックレセプターも見出してきた。
|
Strategy for Future Research Activity |
プロペラ分子末端の置換基により会合挙動やゲスト包接能が異なることが明らかになってきたため、触媒機能の付与を行うとともに、置換基の精査による会合挙動や構造変化特性への影響をさらに検証していく。また2枚羽型アロステリックレセプターにおいてもは、分子認識能の温度依存性を解明するととともに、自己複製触媒としての機能付与を検討していく。
|
Causes of Carryover |
2020年度は、コロナ禍の影響により研究開始が遅れたこと、また研究施設における入構制限により、平時の1/2の人員で研究を実施する必要があったため。2021年度は入構制限が幾分緩和されたことにより前年度の遅れを取り戻すべく、試薬類の購入などに加え研究を効率的に行うための機器購入などに予算を活用していきたい。
|