2022 Fiscal Year Research-status Report
トリフルオロメチル基の選択的活性化と有機フッ素化合物合成への利用
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20K05486
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渕辺 耕平 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (10348493)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 結合活性化 / フッ素 / シクロプロパン / 生理活性 / ジペプチド / 医薬 / バイオイソスター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、炭素の混成状態が変わることで過剰反応が抑制される現象を「生成物の形を変える反応設計」としてその基盤に据え、これを発展させて独自の有機フッ素化合物合成の体系を構築する。 本研究におけるアプローチは、(I)これまでの成果の拡張 と、(II)二次中間体調製への展開 の2つの段階に分けて設定している。 令和4年度は、医薬としてのポテンシャルを有する新規ジペプチドバイオイソスター合成法を開発した。具体的には、アリール基が置換した2-アセトキシ-1,1-ジフルオロシクロプロパンに対してアセトニトリル存在下トリフルオロメタンスルホン酸を作用させ、位置選択的な開環を経て (2,2-ジフルオロホモアリル)アミドを高収率で得た(アミノ基の導入)。ここでは、フッ素置換基の特徴の一つである対角位結合の伸長効果を活用している。こののちSN2'型のシアノ化と加水分解 (カルボキシ基の導入)で、目的の1,1-ジフルオロアルケン (ジペプチドバイオイソスター) を合成することに成功した。本反応は(トリフルオロメチル)アルケンや(トリフルオロメチル)シクロプロパンを起点とした一連の合成手法を1,1-ジフルオロシクロプロパンに拡張したものであるとともに、三成分カップリングによる、従来法よりも自由度が高いジペプチドバイオイソスター合成法を提供している。 なお、令和4年度は本反応について1件の学会発表を行なっており、英文誌への論文投稿も準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、前年度に見出した新たな反応基質である1,1-ジフルオロシクロプロパンの新反応形式を見出すことができた。このことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
(トリフルオロメチル)シクロプロパンから調製できるカルボカチオンは合成中間体として有望なフルオロジエンを与える可能性が高く、ここでも「生成物の形を変える反応設計」が有効に作用することが十分に期待できる。そこで最終年度にあたる令和5年度は(トリフルオロメチル)シクロプロパンを出発物質とするフルオロジエン合成について検討を行い、本研究課題の成果を社会に広く還元することを目指す。
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Causes of Carryover |
本研究課題はその期間が完全にコロナ禍に重なっており、特に初年度は大学における分散登校のため、パフォーマンスが半分程度に低下した。このため研究遂行に想定以上に時間を要し、研究期間の延長を選択することになった。
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