2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of peptide catalysts based on library screening and machine learning
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20K05487
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 一秋 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (80251669)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ペプチド触媒 / 構造機能相関 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,これまでに7ないし14残基のペプチド触媒200種以上で行ってきた,マロン酸ジメチルの4-ニトロシンナムアルデヒドへの不斉Michael付加について,粗生成物のNMRデータの見直しを行い,これまでは転化率とeeのみで評価してきた実験結果を,目的生成物と副生成物のNMR収率として見直して,データ解析の精度が高くなるようにした。次に得られたデータを評価する目的でいろいろな角度からペプチドの構造と反応結果(収率とee)について相関を見たが,知られているアミノ酸データベースの記述子のいくつかをそのまま利用しても意味のある結果は得られなかった。また,近年,不斉触媒の構造-機能相関を機械学習で取り扱った報告があるため,これを参考にしようとしたが,その方法論は触媒の三次元構造に立脚したものであり,今回対象としている三次元構造不明のペプチド群の解析には直接適用できないことが判明した。さらに,生理活性を指標としたペプチドの構造機能相関の論文を参考にしようとしたが,それらは天然のアミノ酸に限定されているために,やはり直接応用することができず,記述子そのものを作り出すことから始める必要があることが分かった。現在,記述子の検討を進めている。 一方で,ペプチド触媒の反応開発という意味では,新たにヘリカルペプチドのN末端に種々のジペプチドを連結させ,そのN末端をグアニジル基に誘導することで,強塩基性を示す新たな不斉有機触媒の開発に成功した。この新たな触媒では,ヘリックスペプチド部分を固定して,N末端側の2残基を検討するだけで結果に大きな変化がもたらされるので,構造機能相関の検討がより簡便に可能になることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画としては,初年次に触媒の構造(ペプチド配列)と機能の相関について,一定の知見を得る予定であったが,当グループの使用しているペプチド触媒の特徴である非天然アミノ酸を含むという部分について,適切な前例がないために,有効な統計学的解析に至っていない。 一方で,機械学習の方法論が確立された場合に備えて他のペプチドライブラリを開発するという点に関しては,新奇なペプチド触媒不斉反応を見出すことで,その一歩を踏み出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,機械学習に向けたアミノ酸の記述子の開発については,既存の報告例を参照しつつトライアルアンドエラーで進めていく。その際に,当グループの研究対象であるペプチドがDアミノ酸を多く含むことから,Dアミノ酸の記述子について集中的に検討を進める。 新たに見出されたペプチド触媒不斉反応に関しては,今後ライブラリスクリーニングを行うことで,適切な配列を見出すことに注力する。
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Research Products
(7 results)