2021 Fiscal Year Research-status Report
Synthetic Study of Hasubanan-type Alkaloids based on Oxidative Phenolic Coupling Reaction
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20K05488
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小田木 陽 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30772157)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 酸化的フェノールカップリング反応 / 分子内アザ-マイケル反応 / ハスバナンアルカロイド / アザプロペラン / 超原子価ヨウ素試薬 / アザビシクロ[3.3.1]ノナン |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】ハスバナンアルカロイドは、主にハスノカズラ属の植物より単離されるアルカロイドの一群であり、抗菌活性や抗ウィルス活性などの有用な生理活性を示す類縁体も報告されており、創薬リード化合物として注目されてきた。本研究では、(Ⅰ)超原子価ヨウ素試薬を用いた脱芳香族的酸化的フェノールカップリング反応と(Ⅱ)位置選択的な分子内aza-Michael反応によるハスバナン骨格の構築を基盤とした当該アルカロイド類の網羅的合成法の確立を目指した。昨年度は、課題(Ⅰ)及び(Ⅱ)について検討を行い、メタファニン及びステファジアミンの全合成を達成した。本年度は、昨年度に得られた知見を基盤に、セファラチン類の全合成について検討を行った。 【研究結果】セファラチン類の合成において、C・D環部の特徴的なアザビシクロ[3.3.1]ノナン骨格の構築が重要な課題となる。我々は、昨年度得られたジエノンのC5位選択的なアザーマイケル反応により得られるアザビシクロ[4.3.0]ノナン骨格の、レトローアザマイケル反応及びヘミアセタール形成によるカスケード反応により、当該骨格が得られると考えた。実際に、ジエノンに対して塩酸を作用させることで、C5位選択的なアザーマイケル反応が進行し、アザビシクロ[4.3.0]ノナン骨格を有するエノンが得られることを見出した。その後、C6位を酸化し、α―ヒドロキシエノンとした後、アザビシクロ[3.3.1]ノナン骨格の構築について検討した。種々検討した結果、基質のアザビシクロ[3.3.1]ノナン骨格が室温で静置するのみで、レトローアザマイケル反応及びヘミアセタール形成によるカスケード反応を経て、アザビシクロ[3.3.1]ノナン骨格へ異性化することを見出し、セファラチンAの全合成を達成した。さらに、同様の合成経路にて、類縁体であるセファラチンB, C, Dの全合成にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、本研究課題の基盤である(Ⅰ)脱芳香族化を伴う酸化的フェノールカップリング反応、及び(Ⅱ)ジエノン誘導体における位置選択的な分子内アザーマイケル反応、について検討を行い、ハスバナン骨格の効率的な構築法の開発に成功した。また、当該手法を用いることで、ハスバナンアルカロイドの一種である、メタファニン及びステファジアミンの全合成に成功した。本年度は、(Ⅰ)及び(Ⅱ)より得られた知見を基盤に、ハスバナンアルカロイドの一種であるセファラチン類の合成研究に着手した。その結果、アザビシクロ[4.3.0]ノナン骨格からセファラチン類に特徴的なアザビシクロ[3.3.1]ノナン骨格への骨格変換反応を見出し、4種類のセファラチン類の全合成に成功した。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、本年度に得られた研究成果を基盤に、ハスバナンアルカロイド類の全合成研究に引き続き取り組む予定である。また、本研究課題をさらに発展させるべく、ハスバナンアルカロイド類に特徴的なC・D環部に焦点を当てた構造活性相関研究を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍における渡航や移動制限により予定していた共同研究などが進展せず、試薬や消耗品に使用予定であった予算を用いることができなかった。そのため、消耗品費において差額が生じた。 使用計画:次年度においては、予定通り試薬や実験器具、消耗品の購入を行う。
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