2023 Fiscal Year Annual Research Report
Synthetic Study of Hasubanan-type Alkaloids based on Oxidative Phenolic Coupling Reaction
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20K05488
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小田木 陽 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30772157)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 全合成 / 超原子価ヨウ素試薬 / 酸化的脱芳香族化 / アザーベンジル酸転位反応 / 環縮小反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】パクタマイシンは、母骨格であるシクロオペンタン環のすべての炭素上に窒素または酸素官能基を有する非常に官能基の密集した他に類を見ない構造を有するアルカロイドです。我々は前年度に、アザ-ベンジル酸転位反応を用いることで、C1位のα-第三級アミンを含むパクタマイシンの母骨格となるシクロペンタン環が効率的に構築できることを見出した。本年度は、モデル基質を用いた更なる検討を行った。 【研究結果】C1位3級アミン部位を有するシクロペンタン化合物を用いて、パクタマイシンの合成に向けた検討を行った。具体的には、合成したα-第三級アミンに対して、ジメチルカルバミルクロリドを作用させることで、C1位をウレアへと変換した。ついで、メチルリチウムを用いてC8位に相当する側鎖を導入したラクトールを得た。生じたラクトールをリチウムボロハイドライドで還元することでアルコールとした後、C6位ヒドロキシ基にベンゾイル基を導入することで、パクタマイシンのC1, 4, 5, 7位の4連続不斉炭素中心を含む母骨格の構築ができることを見出した。今後、当該知見を基盤にC2およびC3位へのアミノ基の導入について検討し、パクタマイシンの全合成を達成する。 【期間全体を通じて実施した研究の成果の概要】本研究課題では、超原子価ヨウ素試薬を用いた脱芳香族的酸化的フェノールカップリング反応と、続く位置選択的な分子内aza-Michael反応によるハスバナン骨格の構築を基盤としたハスバナンアルカロイド類の網羅的全合成を達成した。また、ステファジアミンの全合成の際に見出した「アザーベンジル酸転位反応」を基盤としたパクタマイシンの全合成研究に着手した。
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