2021 Fiscal Year Research-status Report
Construction and Functionalities of Chiral Multinuclear Complexes Based on Variable Transformation of Ligands
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20K05492
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡本 和紘 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (30552658)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 有機金属錯体 / キラリティー / 円二色性 / 白金 / 複核錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施者らはこれまで,ごくありふれた二座配位子でありながらいまだにその構造制御を目指した特異な性質を持つ配位子開発が盛んに研究されている,1,2-ジイミン構造を用いた金属-金属間相互作用を有する二核構造の構築およびその光学特性について研究を進めてきた.通常平面構造を取るビピリジン錯体の3,3’-位にフェニル基のような嵩高い置換基を導入することでビピリジンが非平面構造となることに着目し,この配位子を有する遷移金属錯体のπ系のねじれを鍵とするキラルな性質に基づく光学特性を明らかにすることを目的として様々な配位子を設計した.その一つは本研究の初年度に開発した,ピリジン環上に支持配位子としてイミン部位を導入したビス(イミノピリジン)型配位子である. 本年度は,錯体の安定性および光学特性のさらなる向上を目的として,イミン部位に代えて炭素配位子と金属間に共有結合を有するフェニルピリジン構造を採用することにより,分子内回転による無輻射失活の抑制と中心金属の電子密度の向上を企図してこのビス(フェニルピリジン)型配位子の合成研究をおこなった. 実験に先立って計算化学的な解析を試みた結果,狙った通り配位子骨格のリンカーとしてジオール,ジアミンなどの入手容易なキラル部位を導入したビピリジンにおいて,二面間の軸性キラリティーが発現し,さらに金属間相互作用を有するキラル二核白金錯体が生成することが示唆された.実際に合成した錯体の分光学的分析(円二色性吸収など)の結果,前年度における研究と同様,二面間の軸性キラリティーおよび二面角がキラル連結部位によって効率良く制御されていることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までの研究により,おおむね当初想定していた錯体の合成および基礎的な物性の測定を終えているため.
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Strategy for Future Research Activity |
合成した一連の二核白金錯体を用いることにより,より効率的,かつ環境応答を示す円偏光発光特性を有する二核錯体の開発が期待される.最終年度となる次年度は今までの実験結果を補足する各種比較実験や計算による詳細な機構解析などを含め,学術誌への論文投稿を目指す.
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Causes of Carryover |
コロナ感染対策のため当初の計画より大幅に実験計画を縮小することになったが,その中でも効率的に実験を進めることにより使用額を抑えつつも研究を進展できた.最終年度となる次年度は,これまで行うことができていないが必要な実用的なスケールでの実験を行うため,繰越額を含めた費用を投入してこれまでの実験の集大成とする.
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Research Products
(1 results)