2020 Fiscal Year Research-status Report
1,3-ジアリールプロパン構造を有する有機触媒の開発と縮環型インドールの不斉合成
Project/Area Number |
20K05502
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
山田 健 神奈川大学, 工学部, 助教 (00608367)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 有機分子触媒 / 2-ピリドン / カスケード反応 / 不斉触媒 / スタッキング |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、2-ピリドンを共役ブレンステッド酸・塩基触媒として利用することを独自に発想し、これまでPasserini型三成分連結反応によるα-ヒドロキシアミドの合成、および、Interrupted Passerini反応による縮環型インドリンの合成法を開発してきた。本研究期間中では、これら反応の立体選択性を制御する光学活性2-ピリドンの創出、並びに、本手法を用いた生物活性インドールアルカロイドの効率的合成を計画した。所属グループの知見を基に、2位に不斉中心を有する1,3-ジアリールプロパン構造に2-ピリドンを組み込んだ触媒を独自に設計した。市販の2,6-ジクロロ-5-フルオロニコチン酸からジアステレオ選択的なアルキル化を鍵に6工程で3-フェニルプロピル2-ピリドンを合成した。合成した光学活性3-フェニルプロピル2-ピリドンは、2-ピリドンの片面がフェニル基に遮蔽された立体配座を優先することをNOESY解析より確認した。本触媒を光学活性シトロネラール、tert-オクチルイソシアニドと水のPasserini型反応に適用したところ、反応は3,5,6-トリフルオロ2-ピリドン触媒を用いた時と同様に進行し、対応するα-ヒドロキシアミド体を高収率で与えた。さらに、わずかながらジアステレオ選択性の向上が確認された (dr = 1.0 : 1.4)。現在、本触媒のフェニル基をより立体障害が大きなナフチルに置換した1,3-ジアリールプロパン型2-ピリドン、及び、立体障害があり、電子豊富なトリメトキシフェニル基で置換した3-トリメトキシフェニルプロピル2-ピリドンの合成を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの蔓延により、オンラインによる教育活動に時間が割かれたことと、協力を見込んでいた学生が学内に入構できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度までに確立した合成手法をもとに、立体障害が大きく、かつ、電子豊富なアリール基を有する1,3-ジアリールプロパン型2-ピリドンを合成し、Passerini型三成分連結反応によるα-ヒドロキシアミドの合成、および、Interrupted Passerini反応による縮環型インドリンの合成に適用する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、研究活動の開始が遅れたため。
繰越金で、2020年度購入予定であった光学活性HPLCカラムと、低温反応装置を購入する予定である。
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Research Products
(10 results)