2020 Fiscal Year Research-status Report
Synthetic study of gymnocin-B, a polycyclic ether toxin produced by a red tide dinoflagellate
Project/Area Number |
20K05503
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
森 裕二 名城大学, 薬学部, 教授 (40121511)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ギムノシン-B / ポリ環状エーテル / オキシラニルアニオン / 赤潮 / 渦鞭毛藻 / 合成 / 細胞毒 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤潮渦鞭毛藻Karenia mikimotoiから単離されたギムノシン-Bは、7員環エーテルが15個梯子状に縮環した分子量1156(C62H92O20)の巨大ポリ環状エーテルで、細胞毒性(マウス白血病細胞P388, IC50 = 1.7 μg/mL)を示し、海産創薬シーズ分子として期待される天然物である。我々は独自に開発した[X+2+Y]型ポリ環状エーテル収束合成法を用いて、ギムノシン-Bの全合成研究を行った。 ギムノシン-Bの15環性のAーO環を4つのフラグメントの連結縮環により合成するという合成方針のもと、ABC環、FG環、JK環、NO環の4個のフラグメントを合成したのち、これらを連結して全合成する計画を立てた。 今年度は、FGフラグメントとJK環フラグメントの合成を達成した。FGフラグメントは、ケトンと不飽和エステルのヨウ化サマリウムによるラジカル環化反応で7員環エーテルのG環を構築し、さらにアルデヒドと不飽和エステルとのラジカル環化反応でF環を合成した。JK環フラグメントはオキシラニルアニオン法でトリフラートとエポキシスルホンを連結後、ブロモケトン誘導体に変換後分子内エーテル環化、トリメチルシリルジアゾメタンによる環拡大、アセタール環形成、メチル基と水酸基の導入により合成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ABCD環フラグメントのB環上に存在する水酸基を立体選択的に構築する良い合成法が見つかっていない。C環と縮環させるヒドロキシケトン構造を有するB環の立体選択的合成法がうまくいっていない。 もう一つは、NO環は7員環で1,3-ジアキシアルメチル基を有する。この1,3-ジアキシアルメチル構造の構築が難しく、合成法が確立していない。
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Strategy for Future Research Activity |
ABCD環フラグメントをAB環とD環の連結縮環で合成する計画で、B環上に存在する水酸基を7員環ケトンのエノールシリルエーテル化、四酸化オスミウム酸化で導入する計画である。異性体が生成するので、立体反転操作で目的化合物に変換する予定である。NO環合成では、N環の第3級アルコールをエステル化、Tebbe反応、GrubbsオレフィンメタセシスでO環を構築後、エポキシ化、メチル化による合成を計画している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、緊急事態宣言が発出された2020年4月ー5月期に大学が閉鎖されために研究がストップしたことによる。また、当初参加を計画していた国内外の学会の開催が中止または延期されたために学会参加費、出張旅費の支出がなくなった。翌年度分に繰り越した助成金は、研究計画に基づいて遅れている合成実験の遂行に使用する。
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Research Products
(2 results)