2022 Fiscal Year Research-status Report
非配位性アニオン・キラル四炭素置換ボレートによるカチオン種の不斉認識
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20K05508
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田山 英治 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90372474)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キラルボレート / 第四級アンモニウム塩 / キラルアニオン / キラル識別 / 不斉認識 / 光学活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は4つの光学活性ビナフチル部位から構成されるキラルボレートについての研究行っている。代表的な内容は、キラルボレートを第四級アンモニウム塩とのイオン交換に用い、生成物のプロトンNMR分析により第四級アンモニウム塩の光学純度を決定する手法開発である。併せて不斉触媒として活用できないかの試みも行っている。2022年度の実績を以下に示す。 (1)キラルボレートの新しいリンカー部について合成上の適用範囲:ホウ素原子へ光学活性ビナフチル基を導入するためのリンカーとして、テトラフルオロフェニルエーテル基が利用できるのではないかという知見を得た。2022年度、それをリンカーとしたキラルボレート合成において、ビナフチル部位への置換基導入(構造デザイン)がどの程度可能なのか合成実験を行って調査した。まずは光学活性1,1-ビナフチルの2位に前述のリンカー、反対側の2’位に置換基を導入したボレート前駆体の合成を行った。得られた前駆体からボレートの合成を試みた。2’位の置換基の大きさに対し、目的となるキラルボレート合成の可否(成否)を明らかにした。 (2)キラルボレート・シリルカチオンの発生と応用:シリルカチオンがルイス酸として機能することから、そのキラルボレート塩をキラル有機ルイス酸とした反応開発が試みられている。本研究で合成したキラルボレートを用い、塩化トリメチルシランと反応させることで キラル有機ルイス酸を調製した。これを向山アルドール反応、例えばベンズアルデヒドとシリルケテンアセタールとの反応を試みたが、満足できる選択性は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究を開始して2年間(2020および2021年度)、キラルボレートの合成は研究代表者が主に行い、研究補助者(大学院生数名)がそれを用いて第四級アンモニウム塩の光学分割や触媒としての利用を試みる、という分担を基本とし実施してきた。一定以上の合成スキルを身につけた研究補助者に限り、比較的容易に合成できるキラルボレートの合成を担当させる機会を増やしてきたが、大学院修了に伴い2022年度当初に研究補助者を変えることになった。既存の合成例も含め、特に最後のボレート形成反応を安定して再現することができず、研究の進展が滞った。2022年度前半は研究代表者が自ら合成することにより解決を行ったが、2022年度後半に予測ができない他の研究業務が発生した。キラルボレートの合成を行うことができる時間が限られ、進展が遅れることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であることを踏まえ、成果が見込まれる内容を中心に実施する。 (1)キラルボレート不斉認識能の視覚化:これまで合成してきたキラルボレートの第四級アンモニウム塩に対する不斉認識能を調査する。ラセミ第四級アンモニウム塩とキラルボレート塩のイオン交換によりジアステレオマー塩へと変換し、そのプロトンNMR測定により観測されるピーク分離幅の一覧を作成する。この作業によりキラルボレートを構成する置換基と認識能力の関係を明確にする。検体として主に用いてきたアミノ酸由来第四級アンモニウム塩、およびN-キラル第四級アンモニウム塩のみならず、他の骨格の第四級アンモニウム塩も用いる。第四級アンモニウム塩に存在する置換基が、ピーク分離の成否および分離幅に如何なる影響を与えるか、その関係も明確にする。 (2)第四級アンモニウム・キラルボレート塩の単結晶X線構造解析の検討:(1)の実施により様々な第四級アンモニウム・キラルボレート塩が自動的に得られる。それらの再結晶を試み、ジアステレオマー塩からの光学分割と単結晶X線構造解析の実現を目指す。
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