2022 Fiscal Year Annual Research Report
VQMのヒドロアリール化を鍵反応とするキラルなヘリセンの触媒的不斉合成
Project/Area Number |
20K05514
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
入江 亮 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (70243889)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヘリセン / 螺旋不斉 / ヒドロアリール化 / 環化芳香化 |
Outline of Annual Research Achievements |
光学活性なπ共役系分子には特異なキラル物性の発現が期待されることから,その新規分子骨格の創出とキラル分子材料としての応用は極めて重要な研究課題である.本研究(3年間)では,最近我々が開発に成功した塩基触媒を用いるアルキンの分子内不斉ヒドロアリール化に基づく環化芳香化を鍵反応として,光学活性なπ共役系分子の代表格であるヘテロヘリセン類の効率的な不斉合成法の開発とその特異なキラル物性の解明を目指した.最初の2年間で,(1) 先に発表したアルキン-インドール系の不斉ヒドロアリール化によって調製した軸不斉を有するキラルなビアリール誘導体を出発原料として,4段階でアルキン-カルバゾール系に変換する方法を確立した.この化合物に対してキラルな塩基触媒を作用させることで,不斉ヒドロアリール化による環化芳香化が円滑に進行し,螺旋不斉と軸不斉を合わせもつ新規の光学活性なアザヘリセンを2種類のジアステレオマーの混合物として,いずれも>99% epの光学純度で得ることに成功した.また,(2) アザヘリセンのラセミ体をパラニトロ安息香酸エステルに誘導し,その単結晶X線構造解析により分子構造と相対立体配置を決定するとともに,アルキン-カルバゾール系の不斉ヒドロアリール化の反応機構を明らかにした.最終年度では,(3) 同様な手法で,アザヘリセンの各種誘導体を光学活性体として合成することにも成功した.さらに,(1)と(3)で得られたアザヘリセンが,液晶相に対して高いHTPを示す優れたキラル添加剤であることも明らかにした.
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Research Products
(2 results)