2022 Fiscal Year Research-status Report
フラーレン誘導体を用いた高効率・低エネルギー消費型光触媒の開発
Project/Area Number |
20K05516
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
植田 光洋 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 講師 (60566298)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 近赤外光酸化還元触媒 / フラーレン誘導体 / ラジカル反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学工業における物質生産においては、依然として熱エネルギーを大量に消費する生産工程が主流となっており、持続可能な社会への転換のためには、利用エネルギーのパラダイムシフトが必須である。有機薄膜太陽電池において電子輸送担体として利用されるフラーレンは、電子の運び屋=酸化還元触媒として利用可能であり、また、可視光照射下において高い電子受容性を示すことが知られている事から、可視光駆動型酸化還元触媒としての利用が可能であるが、本機能を有機合成へ応用した例はこれまでに知られていない。そこで、有機薄膜太陽電池は太陽光エネルギーを電気に変換する有用なシステムであるのに対し、本研究では、太陽光エネルギーをフラーレンが電子の運び屋として機能するためのエネルギーとして利用することで、有機化学反応の進行に必要なエネルギーのパラダイムシフトを目指している。 2021年度の研究において、フラーレン誘導体が近赤外光照射下においてテトラフェニルボレート塩を用いた酸化的カップリング反応の光駆動型酸化還元触媒として機能する事を見出した。 2022年度は前年度に開発したフラーレン誘導体が近赤外光触媒として適用可能な新たな反応の開発を行い、テトラフェニルアルキルボレート塩とアルキニルスルホン誘導体との反応を見出した。また、従来の可視光触媒では実現が困難であると考えられる可視光域に吸収帯をもつピレニル基を有したアルキニルスルホン誘導体も同反応の基質として適用可能であることを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フラーレン誘導体がテトラフェニルアルキルボレート塩とアルキニルスルホン誘導体との反応において、光触媒の分野において極めて例の少ない近赤外光酸化還元触媒として、利用可能である事を見出したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回フラーレン誘導体の近赤外光酸化還元触媒として適用範囲の拡大に成功したので、さらに適用可能な反応の探索を行い、光触媒としての有用性拡大を目指す。また、従来の可視光光触媒では実現が困難であった反応の開発も目指す。
|
Causes of Carryover |
本研究の目的をより精緻に達成するために次年度も継続して研究を行う必要が生じたため
|