2021 Fiscal Year Research-status Report
金触媒を利用したビシクロ[3.3.1]骨格の網羅的構築法の開発とその応用
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20K05517
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
森田 延嘉 昭和薬科大学, 薬学部, 准教授 (00433847)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 金触媒 / ビシクロ[3.3.1]ケタール骨格 / プロパルギルアルコール |
Outline of Annual Research Achievements |
金触媒は1価と3価ともに不飽和結合に高い親和性を有することが知られているが、3価の金触媒は酸素原子にも高い親和性を有することが報告されている。しかし金触媒の1価と3価の性質を戦略的に利用した反応の方向制御による環状化合物の合成例は数例のみであった。そのような背景下、我々は金触媒の価数による性質の違いを利用することで、プロパルギルアルコールから様々な環状化合物の合成に成功している。 令和2年度 1価金触媒存在下、γ位に水酸基を有するプロパルギルアルコールとレゾルシノールを作用させると、ビシクロ[3.3.1]ケタール骨格が高収率で得られることを見出した。本反応により、様々な置換様式のビシクロ[3.3.1]ケタール骨格を良好な収率で合成できたことから、ビシクロ[3.3.1]ケタール骨格構築法を確立することができた。また求核種としてナリンゲニンを用いて、γ位に水酸基を有するプロパルギルアルコールで反応を行ったところ、ナリンゲニンが導入されたビシクロ[3.3.1]ケタールが高収率で得られた。ナリンゲニンを用いる反応では、反応の位置選択性の問題が残されてはいるものの、生理活性天然物であるDiinsininolやObochalcolactoneの基本骨格を一挙に構築することが可能であることを見い出した。 令和3年度 ナリンゲニンを用いた反応において生じる位置選択性の問題を解決するため、反応位置がマスクされたナリンゲニンやクリシンの合成を行った。ナリンゲニンやクリシンの水酸基に保護基を有するものや芳香環部位にヨウ素を導入されたものを合成した。それらを用いて反応を検討した結果、反応の位置選択性の問題は解決できたが、収率が著しく低下した。そこで現在、反応条件の最適化を再検討している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
求核種であるナリンゲニンやクリシンの反応において、位置選択性の問題は解決できたが、反応性が低下したせいか、収率が著しく低下した。収率の向上を目指し、反応条件を再度検討しているが、条件の最適化に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 生理活性天然物の基本骨格一挙構築法の開発:反応部位がマスクされたナリンゲニン類やクリシン類を用いることにより、生理活性天然物であるDiinsininolやObochalcolactoneの基本骨格を一挙に、かつ位置選択的に構築することができたが、収率が著しく低下した。そこで反応条件を再検討し、高収率を目指す。 2. ビシクロ[3.3.1]N,O-・N,N-アセタール骨格構築法の開発:窒素官能基を有するプロパルギルアルコールにフェノールやアニリンを作用させれば、ビシクロ[3.3.1]N,O-・N,N-アセタール骨格の構築が可能である。金触媒反応における窒素原子の保護基は、電子求引性であるスルホニル基(Ts基)やBoc基の場合に反応がうまく進行する例が多く、我々のこれまでの予備実験においてもこれら保護基が良いことが既にわかっている。このことからTs基やBoc基で保護されたプロパルギルアルコールやアニリンを用いて反応を検討し、これら骨格を構築したい。 3. ビシクロ[3.3.1]N,S-・S,S-アセタール骨格構築法の開発:硫黄官能基を有するプロパルギルアルコールにアニリンやチオフェノールを作用させれば、ビシクロ[3.3.1]N,S-・S,S-アセタール骨格の構築が可能である。金触媒を用いる反応は数多く報告されているが、硫黄官能基を有する基質の反応例はあまり多くは報告されていない。しかし我々は、アレニルチオールの環化反応において、金触媒による炭素-硫黄結合形成反応の開発に世界で初めて成功している。その知見を活かし、上記骨格の構築法を開発したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症(covid-19)の影響により、研究活動が停止した期間があったため、次年度使用額が生じることとなった。生じた次年度使用額は、主に物品費に充てる予定である。
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