2022 Fiscal Year Research-status Report
カテプシンB阻害活性を有するラクトマイシン類の網羅的合成研究
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20K05518
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小川 熟人 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (50611109)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ラクトマイシン / 立体選択的合成 / カップリング反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラクトマイシン類はStreptomyces sp. ACT232から単離された天然有機化合物である。ラクトマイシン類は強力なカテプシンB阻害活性をもち、新規な作用機序による抗がん剤のリード化合物として期待される。本研究では構造活性相関研究を志向したラクトマイ シン類の新規合成法を確立することを目的としている。 2022年度はC1からC13炭素骨格の構築を検討した。光学活性なグリシドールを出発物質として3-ブチン-1-オール誘導体を反応させた後、末端ヒドロキシ基をジメチルビニルシリルクロリドで保護した。このシリル基を基軸として、ヒドロシリル化反応による3置換オレフィンを立体選択的に構築した。その後、シリル基はヨードオレフィンへ変換して、C8-C13骨格を構築した。一方で、C1-C7炭素骨格はcis-2-ブテン-1,4-ジオールを出発物質として、シャープレス不斉エポキシ化反応により光学活性エポキシアルコールとした後、位置選択的なエチル基の挿入でC1-C7炭素骨格中の不斉中心を構築した。その後、種々の化学変換を行い、ボラン化合物を合成した。ヨードオレフィンとボランを鈴木-宮浦カップリング反応によりカップリングして、低収率であるがC1-C13炭素骨格を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度もCOVID-19による感染症対策のため、研究活動を縮小して実施した。そのため、当初の計画よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は研究活動の制限を解除して、研究をすすめる。2023年度は、C1-C13炭素骨格を構築後、不飽和ラクトンおよび立体選択的にジオールを構築する。続いて、シクロヘキシル部分を薗頭カップリング反応で連結後、共役ジエンの構築と脱保護を経て全合成を達成を目指す。
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Causes of Carryover |
2022年度はCOVID-19の影響で感染対策(実験室の人数制限)を実施しながら研究を進めた。そのため、当初の計画通り研究が進まず、薬品類の使用が少なかった。2023年度は、計画通り研究活動を実施する。研究費の繰越分は、薬品類やガラス器具などの実験消耗品に使用する。
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