2022 Fiscal Year Annual Research Report
Generation of Benzenes as Nucleophiles in the Nucleophilic Substitutions and Its Applications
Project/Area Number |
20K05519
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
上野 聡 東京工科大学, 工学部, 講師 (50514139)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パラジウム触媒 / アリル化 / トリメチルホスフィン / パラ位 / 位置選択的 / 炭素-水素結合官能基化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではベンゼンが求核的に振る舞う反応の開発を目的として研究を行った。初年度2020年度は、シアノメチルナフタレンが塩基性中で生じるカルボアニオンが強力な電子供与基として振る舞うことでベンゼン環が求核的にπ-アリルパラジウム種を攻撃するような反応を開発した。具体的には、パラジウム金属源、リン配位子、溶媒、塩基などを中心に検討と行った。その結果、パラジウムに対して2当量のトリメチルホスフィン配位子を用いたときに、目的の反応が円滑で選択的に進行することを見出した。この反応では、塩基としてフッ化セシウム、溶媒としてはトルエンあるいはシクロペンチルメチルエーテルを用いている。2021年度は、この反応の基質適用範囲を中心に検討した。この反応では1-シアノメチルナフタレンの4位で反応が進行する。そのため、シアノメチル基上の置換基は反応点とは距離が離れているが、その置換基効果が反応性に影響を与えることがわかった。特に立体的に空いている水素の場合に、もっとも高反応性で高選択性であった。このことは、上述の通りにカルボアニオンの発生が本反応の効率に影響を与えることに矛盾しない。2023年度反応機構に関して調査を行った。まず、重水素化標識実験の結果、生成物に至るまでの過程で、シアノメチルナフタレンの4位の水素がニトリルのα位に移動することがわかった。このことは、4位炭素がアリル求電子剤と脱芳香族化を伴いながら反応した後に、4位水素が1,5-水素移動を経て再芳香族化する経路で進行していることを示していることがわかった。これらの研究成果は、主にOrganic Letters誌に掲載されている。
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