2021 Fiscal Year Research-status Report
超原子価ヨウ素反応剤のヘテロ原子の活性化を利用した新規メタルフリー結合形成の開発
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20K05520
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
森本 功治 立命館大学, 薬学部, 講師 (10543952)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超原子価ヨウ素 / グリコシル化 / 窒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
アノマー位に炭素-窒素(C-N)結合を有するN-グリコシル誘導体には、アカルボースを始め、優れたグリコシダーゼ阻害活性を有するものが知られている。種々のN-グリコシル誘導体の中で、「グリコシルアゾール類」はグリコシダーゼと糖転移酵素に対して強力な阻害活性を示す一方で、生物学的に不活性なリンカーとしても用いられている極めて魅力的な分子である。これまでに様々のN-結合型グリコシルトリアゾールの合成法が報告されており、それらの大部分はHuisgen [3 + 2]付加環化反応を鍵反応として利用している。しかし、反応終了後にCu触媒が残存することや不安定な一価のCu触媒を用いるため還元剤を加え必要があることなどの制限を有している。最近、我々は3価の超原子価ヨウ素反応剤を活性化剤に用いたチオグリコシドの活性化とこれを利用した新しいN-グリコシルアゾール類の簡便合成法を報告している。本年度はさらに実用的な方法として、無臭チオールから誘導したチオグリコシドからのN-グリコシル化反応へと展開した。その結果、1,2,3-トリアゾール類を用いた場合に、収率良くN-グリコシル化反応が進行し、対応する生成物が得られることが分かった。1,2,3-トリアゾールでは反応は円滑に進行し、グリコシル化生成物を満足な収率で生成した。さらに、4位にアリール基が置換した1,2,3-トリアゾールを用いた場合では、中程度の収率で生成物を得た。本反応をさらに無臭チオールから誘導したチオグリコシドから誘導した基質から反応を行うことで、工業的にも優れた方法へと展開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在新しい芳香族のアミノ化反応および新規なグリコシル化反応について見いだしている。本アミノ化反応については芳香族化合物とフェノチアジン類とのC-HとN-Hクロスカップリング反応についてであり、予定通り研究は進行した。フェノールアニリン類とのカップリング反応が、室温で効率的に進行することが分かった。またヨウ素反応剤も環状の構造を持つヨウ素反応剤を用いると効率的に進行した。現在論文査読中である。またグリコシル化反応についても超原子価ヨウ素反応剤の特徴を生かした反応となっており、現在論文投稿中である。チオグリコシドを超原子価ヨウ素反応剤を用いると、効率的にアシル化できることを見出した。本法を用いることでオリゴ糖の合成も可能であることを明らかにしている。 このようの芳香族アミノ化反応とグリコシル化反応において、おおむね良好に研究を遂行し新規反応を見出すことに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
超原子価ヨウ素反応剤を用いたメタルフリーな反応として、芳香族化合物並びにグリコシル化反応に注目し、検討する。芳香族のアミノ化反応においてその基質汎用性について明らかにする。その後有用性の高いアミノ化反応へと展開する。またグリコシル化反応についてはO-グリコシル化だけでなくC-グリコシル化反応に展開し、有用性物質の合成を行いたいと考える。オリゴ糖の効率的な合成も視野に入れた検討を行い、新しいグリコシル化反応の方法として世の中に発表したいと考える。
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Causes of Carryover |
コロナ下において学会がオンライン化し出張がなくなり、また研究の遂行に少しおくれが生じたため。
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Research Products
(5 results)